あがり (創元日本SF叢書 1)
あがり (創元日本SF叢書 1) / 感想・レビュー
hirune
ちょっと格闘した^^;研究やら論文やら縁のない話しが続いたあと、なんかスルッと異世界に滑り込んで、何でそうなるかもぼんやりとしか理解できない感じ。。北の街で研究すると思いがけない落とし穴に陥りがちなのかな?名前がカタカナな他は一切カタカナ語は使わないポリシーのようで、潰したじゃがいもの揚げ物っていうのが面白ろかった☆そういえばコロッケって日本語にし難いね。あと、矩形って言葉普段目にしないけど、理科系の人は好きなのかなぁ。
2016/11/11
愛玉子
固有名詞は省かれ又は他の漢字が当てられ、カタカナ表記のものは漢字に変換されていたりするのだが、あ、これは仙台だな、と懐かしく読む(母方の実家なので)。でもその描写には浮遊感があって現実味が薄く、架空の都市の様でもあり。実験を繰り返し、仮説を証明する。それが後々何をもたらすか想像もしない純粋さと、奇跡さえも確率の内という諦観めいたものを併せ持つ理系研究者たちのすこし・ふしぎな物語は、どこか寂寥感が漂う。「不可能もなく〜」「へむ」が良かった。代書屋ミクラ君はその後シリーズ化している様なので、読んでみようかな。
2021/08/27
キキハル
理系女子が書いた理数系小説を超文系の私が読む。少し不思議なSFミステリーの連作短編集。北の街の古い総合大学で繰り広げられる様々な研究。培養用硝子皿で増殖するのは大腸菌ばかりでなく、人との関係も二乗倍で増えたり枯渇したり。けれど全体的に温かな余韻を残してもいる。極力カタカナ表記を避け、実験結果のように丁寧に記してある。どれも良かったが、代書屋のミクラに再会したのが嬉しい。「不可能もなく~」はなんともやるせなく「へむ」は友を守ろうとする少年少女の一途さが微笑ましくて応援したくなる。次作が楽しみな作家さんだ。
2011/12/23
nyanco
第一回創元SF短編賞を受賞された新人作家さん。リケジョ目線で書かれたこの作品、最初はどうにも入り込みづらく、私、最近のSFは苦手なんだなぁ…と、途中断念しかけたのですが…読んで良かった!実にクセになる味です。理工学部の実験漬けの生活に全く馴染みがなく、専門用語が私を阻んでいたのですが馴れてくるとキャラ達がイキイキと目の前に登場してきました。キャラがとても良いです。「出すか出されるか法」に翻弄される研究者達の様子が非常に物語として面白かった。続→
2011/11/07
雪守
冬の季節の厳しいある北の大学を舞台にしたSF連作短編集。創元SF短編賞「あがり」を含めて3編は既読。自分はどちらかと言えば理論系の研究室にいるので実験系の雰囲気が完全に解るとはいえませんが、それでもすごい理系っぽさが満載で共感できる描写が多かったです。そして前編を通して感じたこの静かな雰囲気も好き。特にお気に入りは「ぼくの手の中でしずかに」「不可能もなく裏切りもなく」の二編。それと初読では気付かなかった各編の繋がりがあったのも嬉しかったです。今後の著者の作品を追いかけてみたいと思います。
2011/11/03
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