盤上の夜 (創元日本SF叢書)
盤上の夜 (創元日本SF叢書) / 感想・レビュー
青乃108号
囲碁やチェッカー、麻雀に将棋などをテーマに置いて、盤上の勝負の世界から壮大な話の広がりを展開させてくる六話からなる短編集。久しぶりに活字の上を目が滑り内容が全く入ってこない本にあたってしまった。唯一、いにしえのインドで仏陀と息子の話だけは何とか理解できたが、他はただ読んだというだけで苦痛しか得られなかった。本気で理解しようとすれば色々ヤバい境地に取り込まれてしまいそうで、脳が勝手に自己防衛の為にシャットダウンしてしまった感覚がした。初めて味わう感覚だった。
2024/08/23
ダイ@2019.11.2~一時休止
ボードゲームの短編集。デビュー作にして直木賞の候補にもなった作品。表題作と原爆の局がよかった。
2014/02/13
ちはや@灯れ松明の火
世界が生まれ落ちる瞬間を見たくはないか。連なり織り成された桝目は何処までも広がる乗算の迷宮、魅入られ囚われた魂を逃すことなき網目の檻。四肢を奪われた彼女は何時明けるかも知れぬ夜の深遠に星を散らす。灯りを手繰り更に奥へと進むが為。指先が描いていく、嘶く騎馬、進む歩兵、空飛ぶ象、黒白の相克。盤上に刻まれる、興りそして滅ぶを繰り返す戦いの歴史。心身を削ぎ落とし息を詰めて潜る正方形の深淵、真理を求めることがやがて遊戯そのものを葬り去ることになろうとも、彼らは探り続ける、生きるが如く。この世界がやがて終わるまで。
2013/01/05
けい
様々なゲームを巡る物語。盤上と人間の頭脳の中に広がる、無限の宇宙と時の流れを感じさせる作品。個人的には古代チェスを通じて、ブッダの周辺の人々を描いた「象を飛ばした王子」が好み。
2016/01/16
藤月はな(灯れ松明の火)
中井英夫の世界観と言語や認識における思考実験を取り混ぜたようなボードゲームを主体にした短篇集。紹介されたボードゲームは全く、知らないのになぜか目の前が拓けたような感覚に陥り、戸惑い、震えます。表題作は四肢を喪った女性が代替感覚を得た対象が碁盤。補佐していた相田が「観念がないならば何が残るというのですか!」という言葉が強く、心を抉ります。「人間の王」はチューリングテストにおける人間性とは何かを問うた作品。衆生の幸福を願いながら人として苦しみ、無明の闇を見続けた「蝕」を描いた「象を飛ばした王子」が印象的でした
2013/06/09
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