宿借りの星 (創元日本SF叢書)
宿借りの星 (創元日本SF叢書) / 感想・レビュー
いちろく
円城塔が巻末の解説で触れている様に、この本が描く内容は平易な文章の繋がりなのかもしれない。挿絵も多く作品の世界観に入り易くなっている。ただし、前作である『皆勤の徒』と比較しての話、が私の本音。物語はとある星を舞台にしたSFとファンタジー。著者独特のコトバの造語は健在で、世界観の構築の一端になっている点も凄い。読み応えがあった。ただし、何処まで理解が到達しているか?は別のおはなし。それでもページを捲らせる魅力があるのが、終始不思議だった。
2019/09/26
ねこ
酉島伝法らしい内容で「環刑錮」「皆勤の徒」「隔世遺傳」からの4作品目。相変わらず癖になる世界観で楽しく読めた。また、随所に伝法氏のイラストが有りイメージが伝わりやすい。名前を忘れてしまいそうなので以下属種と名前を記載します。ズァングク蘇倶マガンダラ ラホイ蘇倶マナーゾ カドゥンク蘇倶ガゼイエラ 御惑惺様(みほしさま) 御侃彌(おかんみ)オラツワラ様 砲戴様 大型飛行生物ドロットラレム…書くだけで大変!他にも多く出てきていましたがもー無理です。でも、面白かったぁー!!
2021/09/21
そふぃあ
漢字の組み合わせでイメージを持たせた造語を駆使し、異様な世界をディープに書き上げた『皆勤の徒』の衝撃から5年半、待望の初長編が本書。世界観を形作る独特な造語は健在だが、存外に読みやすい、、!そして、異形の登場蘇倶物へ感情移入してしまった挙句、時々自分が卑徒であることを忘れてしまう始末。。異世界を描いた作品は多々あれど、自分の腕の数が何本だったかふと考えてしまう作品が未だ嘗てあっただろうか。
2019/09/04
ふりや
大傑作!最高に面白かったです!造語や当て字を駆使した「酉島ワールド」を存分に堪能できる異形生物SF。祖国を追われた主人公のズァングク蘇倶(族)のマガンダラは、滅んだはずの卑徒(人)たちによる企みを知り、故郷へ戻ることを決心する。「次郎長三国志+ムーミン」のアイデアを下敷きに、ロードムービー風の前半と、祖国に戻り様々な生態系が描かれる後半、そしてスケールの大きな余韻を味わえるラストへ。『皆勤の徒』や『オクトローグ』も大好きでしたが、今のところ本作が酉島さんの最高傑作と言って良いのではないでしょうか。
2020/10/08
元気
御惑惺《みほし》様を占拠した恐るべき卑徒《ひと》を殲滅しおよそ二百戰後……奪還戦争以来、御惑惺様の上で平和に暮らしてきた多様な種蘇倶《ぞく》たちの世界に異変が起こり始める。誼《ぎ》兄弟殺しの罪でヌトロガ倶土《くに》を追われたズァングク蘇倶のマガンダラは、流罪の地・咒漠《じゅばく》でラホイ蘇倶のマナーゾと出会う。行き場のない無倶人《もんなし》同士の放浪の中で、彼らは滅びたはずの卑徒による狡猾な企みを知る。それは倶土はおろか御惑惺様の運命をも揺るがすものだった。戻れば即処刑の危険のなか倶土への潜入を試みるが…
2020/01/26
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