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千年の黙: 異本源氏物語

千年の黙: 異本源氏物語

千年の黙: 異本源氏物語

作家
森谷明子
出版社
東京創元社
発売日
2003-10-01
ISBN
9784488023782
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千年の黙: 異本源氏物語 / 感想・レビュー

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がらくたどん

文庫版のご感想に惹かれて。過去の文学作品自体がミステリーになるというテーマを自分が初めて知ったのは太宰・芥川を取り上げた北村薫の作品だったか。物語の祖『源氏物語』の成立と頒布過程から謎を紡ぎ出す。探偵役は紫式部。藤原北家の今や斜陽の嫡男系から入内した定子と栄華を手にした三男坊の娘彰子の双方から猫が消える事件を助走に、趣味として書かれた奔放な宮中禁断恋愛物語に忍び寄る散佚疑惑の謎解きに震撼し、帖題のみが伝わる「雲隠」の真相で大きなカタルシスを味わう構成。迷い無き剛腕権力に優美な文学が放つ悔悛への一矢が見事♪

2024/01/28

nico🐬波待ち中

先に続編『白の祝宴』を読んでいたお陰ですんなり内容に入れた。あてきのお転婆ぶりが微笑ましい。『源氏物語』の幻の巻『かかやく日の宮』が消えた謎。謎解きも面白かったけれど、一つの物語をみんなが手分けしてせっせと写本してそれが人から人へ、やがて世の中へ広まっていく様子に驚いたし感心した。写本する内に元の内容が間違って広まることもありそうで怖いけれど。全体的に彰子様の賢さ気高さがとても魅力的だった。大河ドラマではまだ彰子様は幼くぱっとしない感じだけれど、これから立派な国母となっていく様子にも期待したい。

2024/07/08

たま

2003年刊の紫式部が探偵のミステリ。読メのご感想に教えられて読んだ。平安時代の人名(しばしば役職や屋敷所在地に置換)や人間関係の把握がややこしく、源氏物語の中の人物と比較されたりするため、脳味噌がつかれた。しかも2段組。が、「上にさぶらふ御猫」は女童のあてきが生き生きと魅力的、「かかやく日の宮」は紛失が疑われている帖をめぐる推理が綿密で、頑張って読んだ甲斐があった。ただの(失礼)謎解きに止まらず、源氏物語を書いている紫式部論として面白かった。再来年の大河ドラマもこんな感じになるのかな。人名が手強そう。

2022/12/25

sofia

昨年『源氏物語の時代ー一条天皇と后たちのものがたり』を読んでいて、紫式部の周りの関係は理解していたので、非常におもしろかった。特に「かかやく日の宮」の章の紫式部の推理ものは「本当にそうかも?」と思ってしまうほど。行動範囲の狭い中での探偵ぶりはマープルのよう。

2020/01/31

とも

★★★★★素晴らしい作品。副題の通り源氏物語にまつわる話として3部構成になっている。第一部は、式部参内前の時代で、市井で起こる事件をその慧眼で解き明かす導入部となっている。2部では参内から続々と発表されていくが、あるとき発表したはずの1帖「かかやく日の宮」が出回っていないことに気づき。源氏物語のミッシングリングについての謎解きとなっている。第三部は、これまた良く知れた「雲隠れ」について。兎に角、複雑で難解な源氏物語を上手く捌くその手腕は感涙ものであり、パーフェクトと呼びたい。

2016/10/11

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