製鉄天使
製鉄天使 / 感想・レビュー
エンブレムT
「えいえんの一瞬は、どこ、ではなく、いつ、にだけ存在する」というのをテーマだと考えると切ない物語。でも、直木賞作家『仰天の快作』とか言われると「怪作だろ~」と、チャチャを入れたくもなる感じ(笑)中国地方にその名を轟かせた、伝説の少女が率いる爆走女愚連隊『製鉄天使』。『赤朽葉家の伝説』とのリンクが楽しい。でも不良文化に疎いもんで、意味不明漢字上等な世界に慣れるまでは読むのに大苦戦!小豆のメチャクチャ振りとチームが巨大化していく様は、血塗れながらも爽快感すらあり。個人的にはスミレの生き様が心に残りました。
2010/08/12
いいほんさがそ@蔵書の再整理中【0.00%完了】
**赤朽葉家、長女伝説**鳥取県赤珠村。その地に根を下ろす製鉄会社の長女として生まれた赤緑豆小豆は、レディース〈製鉄天使〉を結成し、中国地方にその名を轟かせた伝説の女傑だった!誰もが明るく必死に生きていた時代を描く痛快一代記!(紹介文・他より)――これは面白い!そして何よりも、著者がノリノリで描いていたであろうハッチャけ振りが絶好調だった!とにかく気持ち良いまでにエネルギッシュな青春群像!ラストも、小豆ならこうでなければ!と実に小気味良い!彼ら彼女らなりの真直ぐなアウトローの流儀・スピード感が秀逸な良書!
2013/12/01
sk4
『赤朽葉家の伝説』の赤朽葉毛毬姉さんが作中で描いた漫画の小説版。毛毬が赤朽葉家で起こしていた騒動に近い形で描写されている。しかし毛毬は非業の死を遂げ、小豆はたくましく生き続ける。 『赤朽葉家』好きだったんで面白かったけど、ちょっと長くね?もっと短くテンポ良くできたよね。半分くらいで。 それと赤朽葉との残念な相違点は、毛毬はブサイクとしか付き合わないという点と、小豆は毛毬に比べてビビリだったということ。 赤朽葉家を読んで、しばらく経っていたので懐かしく読めました。あまり直後に読まない方が吉かもしれない。
2012/07/30
ミナコ@灯れ松明の火
いつもと明らかに違う勢いに、まずビビる。最初は気になった粗めの表現もこの世界を演出するための勢いかなあ?と思えたのは100ページほど読んでから。子供の時間に終わりがくることなんて本当は知っていて、でも強引にでも「終わらせたりしない!」と爆走してゆく小豆。ほんとうに、熱せられて赤くなって、やがては冷えて固まってゆく鉄のようだ、と思った。鉄の一見固いけれど実は変幻自在、という在り様は、桜庭さんの世界自体にも通じるものかも、と想いをめぐらせてみたり。
2011/06/30
風眠
んー!たまらん!この面白さをどう表そう。真剣にバカで、無駄に鼻息が荒くて、意味不明にハイテンションで、丙午生まれの少女達の凄まじさと、大切な友達を亡くした哀しみと、大人になってゆくやりきれなさと、でも最終的には埋蔵金掘ってた、みたいな。ざっくり言うとこんな感じで、笑わせて泣かせて最後に爆笑、で、脱力。帯の『その女、疾風怒濤。えいえんの丙午』って煽り文句もいい!鳥取県赤珠村に生まれた少女・小豆。後にレディース「製鉄天使」の初代総長となり伝説となる。くっさい台詞、漂う哀愁、ほしよりこが漫画化したら絶対ハマる。
2015/01/10
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