ミツハの一族
ミツハの一族 / 感想・レビュー
takaC
終わり方が予想外だったが冷静に考えると最善策なんだろうね。清次郎が納得して逝かれたのかどうかは不明だけど。 初出『ミステリーズ!』:「水面水鬼」Vol.63(2014/02)、「黒羽黒珠」Vol.65(2014/06)、「母子母情」Vol.66(2014/08)、「青雲青山」Vol.67(2014/10)、「常世現世」Vol.68(2014/12)
2017/01/22
風眠
恥、慈しみ、情愛、望郷、そして背負う運命への懊悩。秘して語られない多くの感情が人間にはある。時にそれらは未練となって、死後、水を赤く濁らせる鬼の姿で立ち現れる。死者は何も持たず常世へと旅立たなければならない。けれど断ち切ることのできない強い想いが足枷となる。そんな死者の未練に寄り添い、諦めきれない想いの鎖から解き放ち、水源を浄化するのが「ミツハの一族」の役目。土着信仰、生きる者、死ぬ者。己の運命をどう生きるのかと問われているような気がした。大正時代の札幌というのも、この物語の儚さと美しさを際立たせている。
2015/05/31
りょうこ
読みやすかった。でも最後に、は⁉️ってなる。なぜなるかは読んでのお楽しみ?最後の方が駆け足気味だったのが悔やまれる。うまくすれば続編もいけそうだったのになぁ。題材が良かっただけにちょっともったいない!なんて思ったり(笑)
2015/11/30
ままこ
大正時代が舞台。不思議な力を持つミツハの一族「烏目役」と「水守」が「鬼」となった者の未練を探し出し、解消させ常世に送り出す。抒情豊かな幻想的ミステリ。清麗な「水守」に心を寄せる「烏目役」清次郎。暗く狭い世界に住んでいる水守に清次郎は〈知のひかり〉与えた。悲痛な願い。心のともしび。約束と光明。哀切で美しい作品だった。
2019/05/04
けい
時代背景、設定の作りこみが非常に好みでした。時は大正、所は北海道、「烏目役」と「水守」、信心深い村人、やけに現実的な思考の登場人物達。容赦のない宿命と時の流れ。抗えない様々な物事に、抗いながら新たに抗えない物事を創り上げていく。そんな現実と非現実が混ざり合った不思議な読後感を与える短編集。
2015/10/12
感想・レビューをもっと見る