さよなら妖精【単行本新装版】
さよなら妖精【単行本新装版】 / 感想・レビュー
hiro
単行本新装版に書き下ろし短編「花冠の日」が収録されているということで、『さよなら妖精』を再読した。前回は『王とサーカス』を読んだ後、『真実の10メートル手前』を読む前に、高校生時代の太刀洗万智を知りたくて読んだ。1991年ユーゴスラビアから日本に来たマーヤと、守屋、万智、白河、文原たち四人の高校生の交流の中で起こる“日常の謎解き”が中心だが、内戦が始まったユーゴスラビアにマーヤが帰っていくという、ただの青春ミステリとは違う重みのある作品でもある。今回「花冠の日」によって、さらに考えさせられる作品となった。
2017/01/28
雪風のねこ@(=´ω`=)
相変わらず前振りの話が本編の韻を踏む様な意味合わせで考えさせられる。衣食住足りて礼節を知るのは、真実ではあるが現実ではない。常に足りているならば、礼節を弁える必要も無いからだ。貧すれば鈍するもまた然り。ちっぽけでも人から受けた優しさを確かに憶えているのなら、鈍する事はない。光陰矢の如しと言うが、正に人の生は射られた矢の様に過ぎ去って行く。後悔する間も無く。そう言う意味で弓道のシーンが描かれていると思えるのだ。王とサーカスはネパール王族殺害事件を。本作は十日間戦争をモチーフとしている。(続く
2017/06/17
nobby
'90年代初め、ユーゴスラヴィアから何となく予測したものの、とにかく悲しい終盤に加え、書き下ろし短編が切なすぎる…雨の中、途方に暮れるユーゴから来た美少女マーヤ。彼女が気になった日本の言葉・習慣・文化等を日常と重ねて解き明かしていく展開は面白い。何とも平穏に描かれるのに少々退屈さ感じるが、そこに物語の主題はない。第三章で実質的な謎解きパートに入ると、何が何がほぼ伏線であったことに気付かされるのは驚愕するばかり!混沌たる状況の真っ只中に飛び込みたい、留ませたい、双方の想いをヒシヒシと感じるのがやりきれない…
2018/05/19
ハイランド
守屋と太刀洗が雨宿りするユーゴスラヴィアからの旅人マーヤに声をかけたことから始まるストーリー。私達は自分の家族や友人でもいない限り、他国の戦争に鈍感である。どんなに悲惨な状況も、テレビの向こうの、別の世界の出来事でしかない。いつ私たちの上に戦争が降りかかってくるかもわからないのに。守屋たちがわずか二か月共にしたマーヤを通じ、知る事となった遠い異国の戦争。「王のサーカス」を読み太刀洗の高校時代を知りたくて読んだのだが、予想以上に強烈な個性だった。ミステリー要素は必要を感じなかったが、物語自体は面白かった。
2017/04/16
ハミング♪♪@LIVE ON LIVE
数年前に読んだときと随分印象が違う。当時の方が色んな意味で楽しめた。ボーナストラックが読めたのは良かったが、本編は内容変更しているのだろうか?まぁ、自分が変わったということもあるのだが。この作品のマーヤはもちろん、私の親友マーヤにも出会いたくなる。
2017/05/02
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