深夜の博覧会
深夜の博覧会 / 感想・レビュー
starbro
先日読んだ『たかが殺人じゃないか-昭和24年の推理小説-』に続いて、遡って第一弾を読みました。辻 真先、2作目です。三部作なので、基本的なテイストは同じ、ミステリと言うよりも、戦争前夜のきな臭さが漂う、戦中名古屋汎太平洋平和博覧会満州社会風俗小説でした。現在執筆中の第三弾も読む予定です。
2021/01/22
旅するランナー
名古屋汎太平洋平和博覧会を舞台に繰り広げられる、エログロ大絵巻、キテレツ大百科、ハレンチ風俗、ヤミクモ軍部暗躍。少年による推理ものではあるが、大人が唱える綺麗事には裏があることを思いしらされる、恐ろしい内容。満州国や日中戦争の裏側を暴く、作者渾身の作品。推理小説・戦争小説ファンは楽しめるかって? モチのロンですワ!
2021/01/31
ままこ
昭和12年という時代背景の中で様々な立場の人間模様が描き出される少年探偵小説。絵描きの修行をしている一兵が、あっけらかんとした新聞記者の瑠璃子に依頼された仕事先で不可解な猟奇的事件に巻き込まれる。奇妙なカラクリ屋敷にエログロありだが下品ではない。戦後エピローグは複雑な想いと共に切ない余韻が残る。謎解きと共に当時の空気感も感じられ読みやすく面白かった。
2021/01/04
keroppi
今年のベストミステリー「たかが殺人じゃないか」の前にと思い本作を読む。ちょうど桑原甲子雄写真集「東京昭和十一年」を読んだところで、その時代設定や空気感に入り込めた。江戸川乱歩ばりのカラクリと猟奇殺人が、ミステリーの中心となっているが、その背景として戦争に向かっている日本と日本人の心情を巧みに描いている。昭和7年生まれの辻真先にとって、自分が生きた時代を総括してみたかったのかもしれない。
2020/12/10
aquamarine
昭和12年の銀座の似顔絵描き那珂と女性記者が、名古屋汎太平洋平和博覧会の取材に行くことから物語が始まる。華やかな博覧会の描写に加え、伯爵の建てた慈王羅馬(ジオラマ)館は乱歩のパノラマ島を思い起こさせる見事なつくりで楽しい。一方、銀座で起こる血生臭い事件。そして実は関係の深い登場人物たち…。気づいてみればあれもこれも伏線ですごい勢いで謎解きが構築されていった。軽く読めるのに思いがけずグロくてしっかり本格。切ない人間模様にも酔わされ、探偵の唯一の疑問点も最後の余韻に落とし込んだ大御所に完敗。
2020/12/08
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