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うつくしが丘の不幸の家

うつくしが丘の不幸の家

うつくしが丘の不幸の家

作家
町田そのこ
出版社
東京創元社
発売日
2019-11-20
ISBN
9784488028046
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うつくしが丘の不幸の家 / 感想・レビュー

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さてさて

襲い来る試練を乗り越えて次の人生へと向かって力強い一歩を踏み出していく五つの短編の主人公たち。”人生、山あり谷あり”と言う通り起伏に満ちた私たちの人生。しかし、それは私たちが『しあわせ』を意識する生き物であるが故に思い抱く感情なのだと思います。そんな風に『しあわせ』とは何かを考えさせてくれるこの作品。最後まで読んだ読者へのご褒美のごとく用意された〈エピローグ〉が爽やかな余韻を残すこの作品。町田さんの高い構成力に裏打ちされた緻密な物語の土台の上に、繊細な人の心の機微を見事までに描き上げた傑作だと思いました。

2021/10/27

青乃108号

「うつくしが丘」に建つ3階建ての家は「不幸の家」と近隣住民から揶揄されていた。その問題の家を購入し、1階をヘアサロンに改築した夫婦と、隣家に住む老婦人の交流から物語は始まる。全5話プラスエピローグ。迂闊な俺は第2話を読んで、別世帯の話なのに隣に老婦人いるし反対側の家の話なんかな、と良く判らずに暫くして、代々この3階建ての家に住んでは出て行く事になった家族を段々遡っていく、そういう本なのね。と漸く得心したのだった。各話様々な家族が居て、様々な問題も描かれるが目頭が熱くなる瞬間が何度もあった。良本だった。

2024/02/09

nobby

いや、ずっと静かに微笑ましく読ませておいてのエピローグはズルい!全て繋がったシーンには思わず温かい感動をありがとう♬ある人が『不幸の家』と呼んだり、庭にある枇杷が縁起でもない木と言われたり、理由を聞いてしまえば「たったそれだけ。」ある築25年三階建て一軒家に入れ替わり住んだ5つの家族の物語。各編とも上手くいかない日常や人生に胸が苦しくなりつつ、優しく希望さす最後にホッと出来るのがいい。オススメは第三章「さなぎの家」。胸糞悪いヤツが気持ちよく退治されてからのピュアな「ニセモノなんかじゃないもん」が心に響く。

2019/12/21

ウッディ

自然が残るうつくしが丘という住宅地に立つ三階建ての白い家。1階をリフォームして理容店を始めようとする夫婦は、近所の人に「ここは不幸の家」だと言われ、立ち直れなくなるが・・。この家に夢と希望を抱いた家族達を描いた連作短編集。時間を遡っていく構成が素晴らしい。中途半端な位置に打ち付けられた釘、押し入れの落書き、家には人が暮らした痕跡が必ずあり、その謎解きをするように話が時を戻る。理想の家を去った誰もが笑顔であったそんな家、決して不幸な家の話ではなかった。枇杷の木の秘密と隣家の信子さんの存在が素敵でした。

2020/08/04

しんたろー

贔屓の町田さん3作目なので期待大で臨んだが、大満足とはいかないまでも「上手いな~」と溜息が出るシーンが多かった。郊外の3階建てに住んだ人々を過去に遡りながら描いた5つの連作短編は、問題を抱えた状態で始まり温かい余韻で終わるという形式で、少しづつ繋がっているのが洒落ている。女性の心理や台詞がとても自然に感じられ、実在の人物が目に浮かぶようで素晴らしい。若干、男性の描き方が物足りなかったり『ぎょらん』の感動には及ばなかったが、エピローグも心地好くて早くも次作が待ち遠しい。もっと注目されるべき作家さんだと思う。

2020/02/14

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