大鞠家殺人事件
大鞠家殺人事件 / 感想・レビュー
ちょろこ
満足の一冊。時は明治から昭和初期にかけて。舞台は商人の町、大阪 船場。これだけで充分ストーリーにのみこまれる。後継ぎ長男が行方不明、次世代の長男は結婚と同時に出征、そして起きた連続殺人事件。次々と大鞠家に襲いかかる悲劇。夫の帰りを待つ長男の嫁、美禰子は何を知り行くのか…ボリュームも気にならないほどの展開が面白い。一族内での殺人事件、スケキヨを思い出す逆さスタイルには横溝チックを感じられてまた良かった。満足感がきちんと残る、戦中戦後という時代背景、商人文化、人のドス黒さがきちんと活かされた正統派ミステリ。
2024/01/21
遥かなる想い
2023年このミス国内第8位。 明治から昭和にかけて 大阪の船場の 商家に起きた事件を 描く大河歴史ミステリーである。 戦時下の大阪の商家の窮屈な規律と 不可思議な論理が 今に蘇る。 犯行の動機がしっくりこなかったが、昔ながらの家に纏わる不気味さが懐かしい、本格ミステリーだった。
2022/12/25
オフィーリア
夜な夜な踊り狂う赤毛の小鬼、酒で溺死させられた死体、不気味なミステリ要素てんこ盛りながらも、戦時中という異様な状況下での大阪豪商の描写がとても丁寧。 コテコテの本格ものとしても当時の風俗を描いた歴史小説としても楽しめるお得な作品でございました。
2023/11/01
ばう
★★★★ 戦時下の大阪、大空襲の夜に船場の商家で起きた惨劇。縊死、酒樽の中での溺死、ミイラ化した死体…それらの真相は謎のまま迎えた終戦後、1人の女性が見事に謎を解き明かす。363ページ、しかも2段組で最後まで読むのにどれだけ時間がかかるかしら?と少々恐れながら読み始めたら、あっという間に読み終えてしまいました。奇想天外な殺人方法、その元となる数々の推理小説、そして個性豊かな登場人物たちに時の経つのも忘れて読了。戦時中の大阪の話なのに何故か一昔前の本格推理小説を読んでいるようなワクワク感がありました。
2023/05/20
いなばさくら
戦中戦後の大阪を描く長編ミステリ。多分2冊目の作家さん。大阪の船場(←今の狭義の船場よりだいぶん広い)が舞台なんで地名への違和感は全く無し。ただ2段組はやっぱり読みにくいし目が疲れます。ネットの書評で意外な高評価だったので手に取りましたが、ストーリーの意外性は十分。トリックはちょっと趣味とは合いませんでしたが。しかし最近この時代のお話を意図せず読むことが多いな。世間的によく出回っているのでしょうか。
2022/02/18
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