鬼哭洞事件
鬼哭洞事件 / 感想・レビュー
竹城 俊之介
「石神さんーー。」そんな野上さんから石神先生宛の手紙ではじまるのが、もう懐かしい。太田先生の小説は全部好きですが、狩野俊介シリーズは別格!そのことを読み始めてすぐに思い出しました。11年ぶりの新作に、嬉しすぎて泣きそうです。 って泣いてたら、鬼が哭く洞窟?鬼の哭く街カサンドラを思い出させる「鬼哭洞事件」。今回も奇妙奇天烈な舞台設定に胸踊る。そして新たな探偵が! 初読の28年前、憧れの大人だった野上さんが、いつの間にか年下になっていることに衝撃を禁じ得ませんが、今も変わらず憧れの大人像です。
2021/10/31
さっちゃん
11年ぶりの狩野俊介シリーズ・第16作。謎解きに派手さや目新しさはないけれど、野上さんと俊介(と猫のジャンヌ!)の魅力満載の一冊。俊介の優しさ、中学生という多感な年頃の危うさ、探偵の存在意義や正義に悩む姿に、俊介が成長していく姿を野上さんと一緒に見守る気持ちで読んでしまう。俊介の肩に乗っている猫ちゃん(ジャンヌ)もかわいい。あ~私もナデナデしたい。読みやすくて中学生くらいの本格ミステリ入門にもオススメ。
2021/12/04
タカギ
あとがきによると11年ぶりの〈狩野俊介シリーズ〉の新刊。シリーズとして16作目とのことだけど、私は創元推理文庫版の5作しか読んでいない。中2の名探偵・俊介君が素直で可愛くて大変よろしい。知らない言葉が出てくるとすぐ質問するんだけど、煩わしいほどではない。「『たまのこし』って何ですか」はちょっと純粋培養が過ぎる気がしたけど、淡々と応える野上も良かった。あんまり嫌な気持ちにならずに読めるミステリ。新キャラの烏丸孔明、私は好き。俊介君を苛めているような成長を促しているような。東京創元社でもっと復刊してほしい。
2022/03/12
rosetta
★★★✩✩11年振りの狩野俊介シリーズとのこと。記憶にない。ミステリーとしては難しくもないし小粒な印象だが、少年の成長と探偵の意義、正義の問題の方が大きく取り上げられているよう。地方の名家の偏屈な当主。金鉱だった巨大な洞窟の中に屋敷を造るとか如何にも変人。ずっと昔に家を出た母親と妹を探していた依頼人が翌日毒殺される。地元では瀕死の病人だった父親が殺される。売れっ子ミステリー作家との推理合戦。読み物としてはそれなりに面白い。p231「佐方家投手の直系の子孫」は「当主」の誤植。
2021/11/18
二分五厘
狩野俊介シリーズ11年ぶりの第16弾。シリーズ30周年だとか。だけど物語上は1年半の間、そして俊介未だ中学二年生(笑)。久しぶりの舞台は洞窟の中一杯に建てられた館。地方の旧家の一族に奇妙な館、そこで伝わる謎の神楽舞、更にはライバル名探偵の出現と、本格ミステリ要素てんこ盛りで期待値爆上がり。依頼者の死により旧家に乗り込むなんて金田一さながらなんだけど…自分は、少年探偵であるなら良い意味で"軽さ"が必須だと思うんだけど、俊介君が"探偵であること"に悩みすぎてて痛い。野上さんがいるんだからもっと頼ればいいのに。
2022/02/02
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