精神と情熱とに関する八十一章 (創元ライブラリ) (創元ライブラリ L ア 1-1)
精神と情熱とに関する八十一章 (創元ライブラリ) (創元ライブラリ L ア 1-1) / 感想・レビュー
壱萬参仟縁
1917年初出。職人の経験。加工物と道具がそろった経験は真の学問に近づいている(76頁)。意味深だったのは、「権力を苦もなく得た者は、権力にさえ退屈するものだ」(181頁)という箇所。権力に安住すると、それが常態化し、さらなる刺激を求めるのであろう。飽き足らない人間の欲望。この欲望をいい方に活用するか、悪い方に歪んでいくか、で社会や人生は大きく変っていく。
2013/06/02
amanon
久しぶりの再読。既に数回程読んでいるはずだが、殆どと言って良いほど内容が頭に入ってこないのに、我ながら呆れた。文体は平明で、抽象的で難解な哲学用語はあまり出てこない。にもかかわらず、ほぼ日常語で成り立っている文章が意味することを理解しようとすると、驚くほど苦労させられる。やたら、難解な哲学用語を駆使して回りくどい言い回しを弄するドイツ系哲学と好対照をなすというべきか。また、日常的な素材を取り上げながら、その言わんとするところが、今一つ分かりにくいという感じは、モンテーニュの『エセー』に似ている気がした。
2022/07/21
かわかみ
構成はつぎのようになっている。1.感覚による認識、 2.秩序ある経験、3.推理による認識、4.行為、5.情熱、6.道徳、7.儀式。こららの7つの部の下に81の章がある。大雑把に概観すると上1.から3.までが、感性〜悟性〜理性による「認識」について。4.と5.は個人の情動について。6.と7.は社会における人間のあり方について(ただし社会契約、法、公権力については対象としていない)。プロポにおけるようなアランらしい自由な文体であり、難しい術語はないが、意図を理解するのは容易ではない。
2018/05/06
コジターレ
読メ登録前に読了。本棚にあると格好いいかなという不純な動機で読んだ本。面白かったが、少々難解。
いちはじめ
尻上がりに面白くなっていく感じ。翻訳が小林秀雄というのも本書の売りのひとつだろうが、なんとなく、少しやり過ぎではないかという気もしないでもない。
2009/04/14
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