書物愛 [海外篇] (創元ライブラリ)
書物愛 [海外篇] (創元ライブラリ) / 感想・レビュー
KAZOO
書物愛の関しての海外編のアンソロジーです。全10編が収められていてどれも読みでがあります。フローベールの有名な愛書狂をはじめ怪異ものやシュテファン・ツヴァイクの作品2つまでおさめられています。紀田さんの解説も日本編を含めて当を得ていて参考になりました。
2015/06/21
藤月はな(灯れ松明の火)
ツヴァイク、キプリング作品は既読。初っ端からフローベルの『愛書狂』の狂的ぶりに冷や汗を掻きつつも『シジスモンの遺産』の書痴を愛した為に婚期を逃し、あの手この手で本への復讐を断行しようとする醜女と本を手に入れるために女に求婚した最低な書痴の攻防戦にゲラゲラ、笑ってしまいました。短いがピリリと締まったミステリー仕立ての『羊毛皮の穴』、『ロンバート卿の蔵書』、『牧師の汚名』も良かったです。
2014/05/29
sin
これこそ書物愛という作品です。やはり西洋社会においての聖書に裏打ちされた書物に対する愛情は本邦では足下にも及びません。特筆すべきはいずれもシュテファン・ツヴァイクの『目に見えないコレクション』と『書痴メンデル』の二篇。「本が作られるのは、自分の命を越えて人々を結びあわせるためであり、あらゆる生の容赦ない敵である無情と忘却とを防ぐため…」という一文にも心を打たれた思いがします。
2014/12/06
りつこ
書物への偏愛が過ぎて常軌を逸していく人たち。本の中身よりは本そのもの、古書や希少本にとりつかれる話が多い。求めるあまり正気を失ったり不幸に見舞われる話が多いのに、なぜか彼らは幸せそうにも見える。世間から隔絶された小さな世界で好きな本の ことだけ考え財産の全てを注ぎ込む。ある意味こんな幸せな生き方はないのかもしれない。とくにツヴィクの2編は印象深い。イビツな人間の話だが、彼らに寄り添う貧しい人たち、そして彼らを見つめる作者の目がとても優しい。
2015/04/23
かわうそ
日本篇よりも書物愛濃度高し。中でもシュテファン・ツヴァイクの2篇は書物(一方は絵画だけど)に取憑かれた人生の切ない結末に涙。反対に「シジスモンの遺産」の争いが次第にエスカレートしてく様はまるでコントのようで大笑い。日本篇・海外篇を通じて「本を読むこと」に執着する人の話は意外と少ないものですね。
2014/04/04
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