書物愛 [日本篇] (創元ライブラリ)
書物愛 [日本篇] (創元ライブラリ) / 感想・レビュー
KAZOO
古本や本に関するアンソロジーで紀田順一郎さんの編纂によるものです。夢野久作からはじまり、ご自分の作品まで9編の短編が収められています。由起しげ子さんの「本の話」なんてもろにそのものの話があったり、野呂さんの「本盗人」も読みでがあります。この巻は「日本編」で、まだ文庫になっていない「海外編」もあるので早く文庫化してくれないですかね。
2015/06/15
藤月はな(灯れ松明の火)
夢野久作の虚構が現実味を帯びてくるという描写はやっぱり、秀逸だな~。「本の話」は本を売ろうか迷う第三者の心情に我が身のことのように曳きこまれていました。「嗤い声」は受賞作になったら爆発的に売れる本には興味が湧かない私には最初はドン引きでしたが次第にそんな道を選ぶようになった理由が切なくなってくるのが不思議です。そして直木賞候補が歴代直木賞作家の名前をもじったものだと分かった時は思わず、爆笑していました。「古書狩り」はほのぼのするオチで好きです。
2014/05/31
sin
タイトルである書物愛というより古書逸話と云うべきか、夢野久作に煙に巻かれたと思えば次に“煙”という作品、“本の話”自分が死んだらこの蔵書はと…なんとも切羽詰まった気分にさせられる、“本盗人”手段はあらわにされずただ男女関係をほのめかすのみ、“楽しい厄日”ふっ切れた結末が心地よい、“古書狩り”可でもなく不可でもない、“歪んだ鏡”歪んだ心理、“嗤い声”利ざやを得るために隠して廻る様があほらしい、“展覧会の客”まるでせどり男爵。以上だが書物愛というならば“本の話”のみ該当し全体にある意味期待外れな内容であった。
2014/11/27
かわうそ
書痴な皆さんによる執念深い古書探求的な物語が多いのかと思いきやミステリー風味な作品や書物を巡る人生模様といったお話もあって地味ながらバラエティ豊かで楽しかった。その分「書物愛」は控えめですけどね。
2014/03/28
うめ
文学的なものから、楽しく読めるミステリー、中には昭和カストリ風の話もあって盛りだくさん。私は書物そのものに価値を見出すタイプでないからこそ、書物愛に書かれた人物達に新鮮味を覚えました。
2014/12/29
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