緋色の研究【新訳版】 (創元推理文庫)
緋色の研究【新訳版】 (創元推理文庫) / 感想・レビュー
MICK KICHI
<マンスリー・ホームズ>ホームズとワトソン博士の初登場。19世紀の倫敦を辻馬車に載った探偵と助手が疾走する。何度も頭の中で反復するイメージはこの作品からすでに完成しているのが素晴らしい。犯罪に対する異常なまでの探求心と記憶力。一般常識よりも犯罪記録と化学・解剖学を貯めこんだ頭脳。スレンダーな体に備わった敏捷性と体術。最良の友であり事件の記述役を務めるワトソン氏の存在。「無色の人生に流れる一筋の緋色の糸」の解明、これこそがホームズの知的欲求を満たす。そしてベーカー街221Bにヴァイオリンの音が響く。
2019/01/02
stobe1904
【シャーロック・ホームズシリーズ第一弾】記念すべきシャーロック・ホームズ初登場の長編ミステリ。ホームズとワトソンの出会いから始まり、2人が直面したアメリカ人旅行者殺人事件の解決(Whodunit)が前半で、舞台をアメリカのユタに移してなぜ事件が起きたのか(Whydunit)を解き明かす後半パートで構成される。細かい事実認識など違和感があるが、後半の冒険活劇風の展開の妙と奇想をロジカルに解き明かす切れ味は抜群。当時の時代の息吹きを感じつつ、後世のミステリに多大な影響を与えた名作を堪能した。★★★★★
2023/07/08
まちゃ
シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンの初登場作品(初版本1888年)を初めて手に取りました。新訳版なので読み易かったです。現在の事件と、その背景を描く過去の冒険物語の二部構成になっているのが興味深かったです。ホームズ自身が語る「緋色の研究」の由来が心に響きます。「人生という無色の綛糸(かせ糸)のなかに、殺人という緋色の糸が一筋まじっている。そしてぼくらの務めというのは、その綛糸をときほぐし、分離して、すべてを白日のもとにさらけだすことにあるのさ」
2021/08/09
naoっぴ
ホームズシリーズの第一作。変わり者ではあるが、一度推理させれば細かな観察力と洞察力で、どんな事件も見抜く特殊な能力をもつホームズ。そのテクニックや性格が細かに描かれている。そんなホームズとシェアハウスをすることになる軍医・ワトソンとの記念すべき出会いの巻。今回の殺人事件は物語半ばで犯人確保。え、もう?と思ったところで物語はがらりと転換、事件の背景である過去へと遡る2部構成となっている。ミステリというより冒険的要素が多く、当時のロンドンの雰囲気も味わいながら楽しく読んだ。
2021/05/17
佐々陽太朗(K.Tsubota)
普通の者なら見逃してしまうような些細なことから、その明晰な頭脳を駆使した洞察による推理で真実を言い当て、周りの者を仰天させる痛快さ。優れた推理と行動力で難事件が見事に解決する醍醐味を改めて味わった。子どもの頃読んだワクワク感が蘇って、嬉しかったのなんの。そして還暦を過ぎて読むシャーロック・ホームズは、児童向けの全集とはまた違った味わいがあった。十代から八十代、九十代にいたるまで、読者を虜にするのがシャーロック・ホームズであろう。他の作品も読みたい。
2024/05/20
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