他言は無用 (創元推理文庫 M ハ 6-2)
他言は無用 (創元推理文庫 M ハ 6-2) / 感想・レビュー
本木英朗
英国の黄金時代本格ミステリ作家のひとりである、リチャード・ハルの長編2作目である。俺は今までに2回読んでいたが、2019年の話は途中で無理になった。3回目でようやく、という感じだろうか。英国紳士の社交場――クラブ。憩いを求めて三々五々、会員たちは足を運ぶ。弁護士、幹事殿、問題児、開業医……彩り豊かな配役が右往左往するなか、動き出した物語は、どこへ転がっていくのか?という話である。果たして真犯人は誰だろうか?ってところは途中で分かったしまう。でもそれからがまたどうなるのかが見ものであります。(→)
2022/01/31
maja
英国紳士が集まる社交クラブホワイトホール。ある日、バニラ味にこだわりを持つ日頃から何かと口煩い常連の老人がクラブで亡くなった。また、その日は料理長の妻が悪戯心で毒物の治療薬をバニラエッセンスの瓶で夫に持たせた日でもあって・・。動揺する料理長に、クラブの体裁を取り繕うとあわてふためくクラブ幹事フォード、やがてどこからか彼に指示する奇妙な脅迫状が届きはじめて彼は鱈料理でまずは抵抗するが。どこに向かって行くのか。この話は。英国っぽい皮肉の効いたじんわりと可笑しさ漂うミステリで楽しい。
2021/11/21
アカツキ
会員制クラブの料理長から間違って料理に劇薬を入れたかもしれないと報告され、それを注文した会員が死んでいるのが見つかる。クラブの体面を慮る幹事は会員の主治医の協力を得て心機能障害で亡くなったということにして落着を図るが、脅迫状が届くようになり…。ヘタレのくせに脅迫者の要求には意地を張る幹事、自分が書いた脅迫状にそそのかされる脅迫者、探偵役は本泥棒探しに夢中。このメンツで大丈夫かと不安になるユーモアミステリ。もうちょっとテンポがよかったらと楽しめたかも。
2020/09/10
歩月るな
「子羊を盗んで吊されるより、親羊を盗んで吊されるがまし。そういうことですね」実は今世紀訳出という超傑作。訳が古くない上に訳注解説共に充実していながら、300頁に満たずに決着する読みやすさ。それなのに登場人物と来たら、実に生き生きと描かれており「心理面の小説」の一端を窺い知れる。『叔母殺人事件』の知名度が大きく、しかしこの一冊で「技巧派」としての凄まじさを理解する事に。解説はバークリー派の森英俊。この人にしか書けないであろう解説であり、続く『善意の殺人』でも訳・解説を務める。この一筋縄でいかない感じは凄い。
2016/06/13
elf51@禅-NEKOMETAL
梅田蔦屋書店に行った記念に借ってみた本。リチャード・ハルの長編第2作。1930代の社交場=「クラブ」での殺人事件,評判を落とさぬよう隠そうとするホテル主他,事を荒立てたくない人達の思惑が絡み合って,皮肉っぽく,推理は右往左往する。第二の事件が本がなくなったというものなので,緊迫感はない。当時の社交がどのようだったのか,ある程度の知識が必要だろう。ポアロのドラマなど見ておくと1930年代の雰囲気はつかめるかと。
2021/12/13
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