悪魔に食われろ青尾蠅 (創元推理文庫)
悪魔に食われろ青尾蠅 (創元推理文庫) / 感想・レビュー
mii22.
題名「悪魔に食われろ青尾蠅」は作中に出てくる唄の一節だが、そそられる題名であると同時に恐ろしい意味も持っている。ハープシコード奏者のエレンは精神病院を退院し、愛する夫の元で演奏活動再開を目指そうとするが、以前とは違う何かに不安を感じる...。エレン目線で物語を追っていくと、虚ろな空間と歪んだ時間に翻弄され、現実と妄想と悪夢の区別がつかなくなり、精神状態が不安定になって息苦しさに耐えられなくなる。ただラストにもう一撃ぐらいとどめが欲しかった。
2015/09/05
タカギ
恩田陸、桜庭一樹両氏が読書日記で触れていて、読みたいと思っていた。「〜に似ている」とか書くとオチがバレてしまう種類の話で、私はあんまり驚かなかったし、最近の作家がこれを書いたらズルいと言われる可能性が大です。ただ、読み終えてみると、あれもこれも伏線だったのか? という記述が思い浮かんで、再読したほうがいい気がします。あとまあ、タイトルが素晴らしくてたまらんですよね。
2019/08/12
藤月はな(灯れ松明の火)
恩田陸さん、桜庭一樹さんが絶賛する本だったので読みました。エレンの物事への見方に同調すると気が変になりそうだったので「これはいけない」と思って客観的にみようと努めましたが錯綜する記憶や人物たちの出来事に余計に混乱させられました。そして最後のあの結末は怖い、怖すぎる(泣)!!たしかにこの作品は早すぎた作品でした。多分、1990年代に発表されていたらしっくりきたと思います。
2011/04/22
ホームズ
桜庭一樹の読書日記を読んで読みたくなったので読んでみた。実は2回目の挑戦。初回はどうしても雰囲気が好きになれなくって挫折。今回もやはり雰囲気がどうしても駄目でしたが最後まで読み切った感じ。物語の方向としては好みの作品になるんですがどうしても読みにくい感じがしてしまった。
2013/02/10
飛鳥栄司@がんサバイバー
再読。本作の特徴は衝撃的なラストよりも、幻想的な文体にあると思う。儚げでかつ不安で自身なさ気、しかしその中で絶対的に主張している強い意志のようなもの。現在進行形の現実と回想と妄想から織りなされる、狂気と凶気。読者はそんな文章と主人公エレンに翻弄されて、エレンの心の中の闇に捕らわれで迷わされる。エレンへの感情移入とも違うし、エレンの視点とも違うし、なんとも不思議な感覚の読書体験ができるので、是非読んで欲しい傑作である。
2015/01/30
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