幽霊の2/3 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M マ 12-3)
幽霊の2/3 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M マ 12-3) / 感想・レビュー
🐾Yoko Omoto🐾
精神科医ウィリング博士シリーズ。今作では出版業界の内幕的エピソードが赤裸々に盛り込まれ、当時の業界を強烈に諷刺したようなやり取りが随所で繰り広げられるなど、実に興味深く読みどころの多い作品だった。登場人物はベストセラー作家、出版社、作家のエージェント、その妻たちそして批評家、彼の作品が売れ続けることを願ってやまない者ばかりだ。なのに何故、彼らの内輪でのパーティーで作家は毒殺されたのか。リテラシーを求められるこの業界だからこそ成り立つ真相や動機は見事で、全編に渡って周到に撒かれた伏線も圧巻だ。→続
2015/10/21
KAZOO
ミステリーの名著でありながら長らく絶版状態であったのが再刊されて今は読めるようになりました。私も少し読んだ状態でしばらく手にとってはいなかったのですが読み始めてみて一気に読んでしまいました。昔ながらのホワイ・フーダニットなのですが人物がよく描かれていてさらに殺された人物の・・・・・。という状況で楽しめます。
2015/06/24
星落秋風五丈原
数合わせのパーティに呼ばれたベイジルが現場に居合わせたために、彼が探偵役となって謎を解いていく。しかし本篇は「衆人環視の中で人を殺せるか?」という事件の見極めに留まらず、もっと大きな謎解きへと繋がっていく。その事も踏まえたタイトルであり、原題は2/3がつかないA Ghost=一人の幽霊となっており、多くのレビュアーが言及しているように、内容を踏まえた邦題もぴったり。サイドストーリーとして面白いのは、日本よりエージェントの力が強い米国出版界の内幕である。作中にミステリ作家に対する台詞が結構手厳しい。
2017/08/11
みっぴー
次々と浮かび上がる驚愕の真実。もしかしたら、『幽霊の2/3』(原題aGhost)と紹介文を見た瞬間、真相を見破れる方もいるかも。出版社にとって金脈の人気作家が毒殺された。一見して利益を得る者が誰もいないばかりか、痛手以外の何物でもないはずーー口を滑らせないようにレビューを書こうとすると、何を書いてもネタバレしそうで…(^_^;)面白いのは間違いないので、かなりおすすめです。
2017/02/27
kariya
幽霊の2/3はゲームの名前。でもその真の意味は別にある。謎多き人気作家がパーティーで毒を飲み死んだ。復縁を迫っていた別居中の女優の妻、不倫関係にあった人妻など、招待客は曰くありげな者ばかり。やがて明かされる意外な真相とは。一見派手な道具立てや展開がなくとも、精緻な構成と巧みな描写が二転三転する真実の終着地まで、読み手を引き付けて離さない。タイトルが意味していた事実には本当に驚かされた。幽霊の2/3とは半ば以上が死せる生者か、僅かにのみ生くる死者か。
2009/12/13
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