月明かりの男 (創元推理文庫)
月明かりの男 (創元推理文庫) / 感想・レビュー
ケイ
古典的犯人探しのミステリ。舞台はアメリカ。殺されたのは、ナチの収容所から逃げた研究者の教授。犯人は大学内部の犯行か、もしくはドイツからスパイが? 怪しく思えた人が次に殺されたり、謎解きをするのかと思った最初からの登場人物の警察が出番が減ったり、楽しく翻弄された。後で解説をみて、書かれたのが1940年だと知り、本当の戦争が始まる前だとびっくりした。
2018/08/19
森オサム
著者初読み。1940年の作品ですが、新訳の為か大層読み易い。月明りの中逃げ出した犯人、三人の目撃者は全く違う証言をする。素晴らしい掴みからラストの意外な犯人との対決まで、きちんと整った端正なミステリーでした。当時最新の科学捜査と社会的背景が描かれている割には、現代の日本で読んでも楽しめるのは凄いですね。「本格ミステリベスト102018年版」第三位。シリーズを追いかけて見たい作品に出合いました。おススメします。
2018/07/21
セウテス
ウィリング博士シリーズ第2弾。殺人現場より走り去る怪しい人影が、3人により目撃される。しかし不思議な事に、その目撃証言は三者三様であった。タイトル月明かりの下で目撃された男は、いったい誰なのか。やがて殺人事件は、第2第3と続いて起きてしまう。必ずしも犯人だけが、嘘の証言をしている分けではないところに、本事件の謎解きのポイントが在る。数多くの不可解な謎、関係者が抱える隠したい出来事が、ウィリング博士によって一つ一つ明らかになる終盤は圧巻である。最初から最後まで余談は一切無い、此ぞミステリ推理する為の作品だ。
2017/10/21
星落秋風五丈原
この人とウィリングとの出会いはここだったんだ!まあ、ありがち。事件絡みの出会いというのはまず印象的であり、嘘ついてそうな美人とくれば、容疑者スイッチが入っても不思議じゃない。それでいて、ナチスによって故国を逃れてきたという弱みも持っているとなれば、ナイト的願望も湧きおこる。イーデン・フィルポッツやら他の探偵達が陥る罠に、心理学のプロのウィリングも嵌っていたとは、よほど彼女が魅力的だったということか。いやー、告白前にあんな事まで!全然冷静じゃないよ。ウィリングもやはり恋する男だったんだなぁ。
2017/09/29
yumiko
待ってましたのマクロイの新訳。マルティン・ベックシリーズとこちらは年に一度のお楽しみ♪ 珠玉の犯人当てとの帯文句にわくわくしながら読む。 目撃者三名の証言が容姿も性別も一致せず…マクロイの引きは相変わらず強い。 嘘は心理学上の手がかり、偽の手がかりにこそ犯人の意思が表れているというベイジルの精神医学的な分析は、今までの作品の中でも最も納得できるもの。 消去法で犯人には辿り着くけれど、細かい伏線が美しく気持ちよく読了。 もう少し早く訳されていても良かった作品なのではないかな。
2017/09/30
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