消えた少年 (創元推理文庫)
消えた少年 (創元推理文庫) / 感想・レビュー
ふう
この話はどこへ向かい、どんなふうに着地するのだろうとハラハラしながら読んでいたのですが…。成熟した社会、福祉の進んだ北欧にもこんな影の部分があるのかと思うと、人間はつくづく悲しい生き物だなと、途中から読むのがつらくなりました。そして、少年が消えた理由がまさかあんなことにあったとは。ただでさえ複雑な社会なのに、夫婦や親子、難民の問題等が絡み合って、人の思考や判断力まで歪めてしまっているようでした。自由過ぎて苦しそう。でも、マリアのように被害者(とくに女性)をいたわってくれる警官がいることが救いでした。
2015/03/13
雪月花
スウェーデンのゴットランド島が舞台のミステリー。解説によると、著者アンナ・ヤンソンによるこのマリア・ヴェーン捜査官シリーズは15作もあり、本作は8作目。ミッドライフクライシスに差し掛かり、関係が壊れかけた夫婦が何組も出てきて、それぞれの夫婦関係の危うさに事件が次々と重なっていく。バルト三国やロシア、ポーランドに近いという地理的な位置から、これらの国々からの密輸や不法滞在も影響を見せる。犯人が最後の最後まで全くわからず、一気に読ませる。翻訳も非常に読みやすかった。
2021/11/03
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
スウェーデンのゴットランド島で10歳の少年が行方不明になる。直前に少年に暴力をふるった2人の14歳の少年。さらにその直前に不倫行為をしていた2人の少年の父と母。3人の少年の母親のエキセントリックさ。3人の父親のダメダメさ。スウェーデンはこんな親ばかりではないとは思うけど、家庭の荒廃がきっちり過ぎるくらいきっちり書かれて飽きなかった。不倫はよくないなー。きちんと恋に落ちてもうどうなっても構わない、死んでも良いくらいまで思いつめたら話は別かもしれんが。ラストは恐ろしかった。
2018/11/17
タカラ~ム
この暗鬱として重苦しい世界は「北欧らしさ」というイメージが与える印象なのだろうか。複雑な事情、病的な過保護、冷えきった夫婦関係。それぞれの家庭事情がもたらした悲劇は、ラストに至っても読者にモヤモヤとした不快な印象を残す。後味の苦々しさが胸苦しい。
2014/11/27
はる
図書館本。家族、きょうだい、ともだち、隣近所がわさわさと寄り集まって楽しそうに食べたり働いていたり~というのが60年前のリンドグレ-ンが書いたスウェーデン。家族もなんだかばらばらできょうだいもこんなんで町も荒れている、そのうえ死体もいっぱい出てきた現代のスウェーデンがヤンソン。うむむ、シリーズ途中からでも辻褄が合えば良いが、こんな中途な途中から…。
2017/07/10
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