隅の老人の事件簿 (創元推理文庫 177-1 シャーロック・ホームズのライヴァルたち)
隅の老人の事件簿 (創元推理文庫 177-1 シャーロック・ホームズのライヴァルたち) / 感想・レビュー
えにくす
「謎(ミステリ)だと!犯罪に謎などというものは有り得んよ。叡智ある人間がそれの解明にあたる限りはな」喫茶店《ABCショップ》で女性記者ポリーは、目の前に座った老人からこう言われる。彼こそが名前のない探偵で、いつも隅の席に座っている安楽椅子探偵の、隅の老人だった。以後この店で会う度に、次々と新聞を賑わす難事件を解決し、警察にも言わずに去っていく。さあアナタも喫茶店に行って、隅の席でチーズケーキを食べミルクを飲んでる老人を見たら、向かいの席に座って尋ねてみよう。鮮やかに事件を解決してくれるかも知れないよ。★4
2024/02/21
セウテス
〔再読〕ホームズのライバルたちの一人であり、安楽椅子探偵の元祖と言われる事も多い。私がホームズに次いで読んだミステリーの一つですが、新しい形の探偵を作り出したと言えると思う。またコンチネンタル・オプの様な、名前をハッキリさせない探偵のはしりでも在ります。探偵役が事件の謎を提示し、自らその謎を解く形は珍しい。隅の老人のお喋りで話は進み、記者のポリーは聞き役のみというスタイル。13話のトリック云々より、一作の物語としてラストの終わり方に目を疑う程の事実が隠れている。ミステリー好きの方なら、一読をお薦めします。
2016/02/26
藤月はな(灯れ松明の火)
事件の話をする女性記者にカフェの片隅に座って紐を結んだり、解いたりしている老人が自分の過去や自慢話を交えながら真相を告げるという安楽椅子探偵もの。トリックも事件の動機も首を捻るものが多い中、事件の真相が明らかになってもその後、どうなったのかということも放置されているのに呆気にとられます。唯一、ほっとさせられたのは「アルテミス号の危難」かな。しかし、そんなもやもや感を抱えての最後の話で受ける衝撃が凄まじいさよ・・・・。しかもなぜ、そうしたのかが分からないのが不気味さを感じさせます。
2014/03/19
星落秋風五丈原
デイリー・テレグラフ紙を読むことを欠かさないポリー・バートンは、『イブニング・オブザーヴァー』紙の優秀な新聞記者。いつもABCショップで11ペンスの昼食を取り、1ペンス分の情報収集をするのが彼女のランチの日課。だがその日は勝手が違っていた。頭がはげ上がり、しきりに紐をひねくりまわしていた老人が、「ミステリーだと!犯罪にミステリーなどというもんはありえんよ-叡智ある人間がそれの解明にあたるかぎりはな」と話しかけてきたからだ。彼は話題となっている『フェンチャーチの謎』の真相をポリーに語り始めるのだった。
2006/10/25
おりん
推理小説の古典。連作短編集。本作の探偵役、隅の老人は安楽椅子探偵の先駆けの内の一人とされているらしい。全編通して読んだ感想は、正直言って微妙。面白い話もあったが後出しされた証拠が決め手となって真相解決する話がいくつかあったのと、かなり簡単にラストの予想がつく話がいくつかあったのがマイナス点。とは言え、フェンチャーチ街の謎と、バーンズデール荘園の悲劇、この二篇はそれなりに面白かった。
2017/12/08
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