雲なす証言 (創元推理文庫)
雲なす証言 (創元推理文庫) / 感想・レビュー
セウテス
〔再読〕英国ミステリーを考えるに、現代を代表するP・D・ジェイムズなど多くの作家が、最も影響を受けたのはドロシー・L・セイヤーズだと言う。なのに日本では、クリスティを知らぬ人はいないのに、セイヤーズを読む人はまだまだ少ないと感じる。十冊ちょっとしかないので、是非楽しんで欲しいと願う。妹の婚約者が銃で撃たれた遺体で見つかり、兄が殺人の容疑で逮捕されてしまう。ピーター卿は無実を証明しようと捜査に乗り出す。という事ですが、今回はアドベンチャーの感じが強く、貴族の生活や愚かさ個性的なキャラを楽しむ作品に思えます。
2015/03/17
NAO
ピーター卿シリーズ、第2作。兄が、妹の婚約者の殺人容疑で逮捕されるというこの本には貴族のスキャンダルがてんこ盛りになっている。兄のデンヴァー公爵や妹メアリーがしていることに比べたら、ピーター卿の探偵ごっこなんてかわいいものだ。害になるどころか、家族の役に立っているのだから。いかにもイギリス的な芝居がかった振舞いのピーター卿と忠誠心の塊のようなバンターは、好きにな人間にはたまらない名コンビ。推理小説としてはちょっと古臭い感じだけれど、ノスタルジックな雰囲気とコメディタッチで、軽い読書には最適。
2016/06/21
Tetchy
今回は中盤、ゴイルズあたりが登場する所は俄然乗ってきたのだが、最後には仮説の一つが淀みなく証明されたに過ぎなかったという結末がシンプルに収束したのが残念である。特に最後の最後で新しい、しかも登場人物表に載っていない重要人物が出てくるあたりは興醒めである。
2009/07/11
花乃雪音
ピーター卿シリーズ第二作。ピーター卿の妹メアリの婚約者が殺される、その容疑者は兄のジェラルドだった。本作の魅力はなんといってもピーターの妹メアリのキャラクターにあった。ピーター卿に負けず劣らず個性的で貴族の令嬢とは信じがたい程であった。
2021/03/21
つたもみじ
貴族探偵ピーターウィムジー卿シリーズ二作目。ピーターの冒険と言っていい程にアクティブで、そして結構大変な目にもあっている今作。妹メアリの婚約者が殺され、犯人は兄のジェラルドであるという信じがたい報告に、ピーターが兄の無実を証明すべく奔走します。しかし、兄といい妹といい…。まあ、頑固なのは血筋ですかね。ピーターは勿論、執事バンター、友人警部パーカー、魅力的なキャラクターによるコミカルなやりとりも面白く、細かく描かれていた貴族院議員の裁判の様子は興味深かったです。
2014/10/01
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