不自然な死 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M セ 1-4)
不自然な死 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M セ 1-4) / 感想・レビュー
Kircheis
★★★☆☆ ウィムジィ卿シリーズ第3作目。 今作の犯人は、序盤の段階で分かってしまうため、ハウダニットがメインとなる。 しかし肝心の殺害方法も現在のミステリファンなら当然思い浮かぶものであり、全く驚きは無かった。 とはいえ、キャラの個性と軽妙な会話のおかげで十分楽しく読めるので、個人的には満足できた。 犯人の極悪さが1番の注目ポイントかもしれない。
2021/12/03
夜間飛行
医者の診立てと違い老婦人が急に亡くなる。解剖したが異状は見つからず、医者は非難を浴びる。そこでウィムジイ卿が謎を探り始める。この貴族探偵には優秀な聞き込み役がいて、中年女性の観察力を武器に潜入調査を進める。遺産を継いだ姪が怪しいが、事件性の有無さえハッキリしないうちに、今度は以前この家の家政婦だった娘が森の中で死体で発見される。これも死因に異状なし。もやもやしたまま犯人の見えざる手を想像させる書き方は好みが分かれそうだ。まあ、ウィムジイ卿とパーカー警部の系図探索や法律調べに気長につき合っても損はなかろう。
2022/02/27
NAO
ピーター卿シリーズの三作目。どうしても他殺には見えないもののその死に疑問が残る老女の死と、調査開始後にまたも起きた不審死。誰がしたかということより、なぜ行われたかに重点が置かれた謎解きになっている作品。パーカー警部、調査員のクリプスン嬢、そして従僕バンター。ピーター卿を補佐する魅力的なメンバーと、ピーター卿の掛け合いが楽しく、いかにもイギリス的。本編には関係ない何でもない場面だけれど、ピーター卿が出かける際の服装についてバンターに意見を求め、バンターが実用的かつスタイリッシュにアドバイスする場面が好きだ。
2016/09/23
セウテス
ピーター卿シリーズ第3弾。〔再読〕ある老婦人の死を調査する事になったピーター卿。担当医師ですら、明らかに出来なかった不審な死を明らかに出来るのか。トリックは現代ではよく知られる様になった古典的なものですが、この作品の頃は驚異的だったと思います。むしろ被害者は末期ガンであり、放っておけば自然と亡くなる病状であるのに、何故殺人のリスクを負う必要があるのか。誰が犯人かより何故に重点が置かれている作品。会話が楽しい、場面の情景が直ぐに浮かぶ、心に長く残る、詰まりはストーリー・テリングが抜群に良いという事なのだ。
2015/09/20
Tetchy
セイヤーズは凄い!本統に現代のミステリに通じるセンス・オヴ・ワンダーがある。今回も例によって発端の事件は地味。いや料理屋で隣り合わせた医師が非難にあった事件にもなっていないある老嬢の死から始まる。しかし終わってみれば3人の死者と1人の殺人未遂で終わるという派手な結末。ピーター卿が事件に関わる動機もよければ、犯人の動機も斬新。さらに最後に発覚する仕掛けに驚かされた。数ある同種のトリックでもセイヤーズのこれはメガトン級!ん~、正に英国ミステリの女王の仕事っぷりだ!
2009/07/13
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