五匹の赤い鰊 (創元推理文庫)
五匹の赤い鰊 (創元推理文庫) / 感想・レビュー
セウテス
ピーター卿シリーズ第6弾。〔再読〕スコットランド、嫌われ者の画家が崖からの転落事故に見せかけて殺される。殺人だと認定する際に読者に対して、敢えて書かない事が在る、と作者から挑戦的な描写があるのが珍しい。タイトルの赤い鰊とは読者を迷わす為の偽の手がかりという意味であり、6人いる容疑者の内の5人は赤い鰊であると言う事です。この6人の容疑者、其々が殺人事件当時に怪しい行動をとっている為に、バークリー氏の「毒入りチョコレート事件」の状態になります。洒落た会話を楽しみながら、犯人特定への推理の仕方を味わう作品です。
2016/06/09
NAO
ピーター卿シリーズ第6弾。「赤い鰊」は、「本物っぽく見えるニセの手がかり」というスラング。 ということで、この作品には、いかにも怪しい容疑者が6人登場する。今回のピーター卿はあまり卓抜な動きを見せず、ときどき画家仲間たちを訪ね歩いたり、ちょっと風変わりな計画を立てたりするぐらいだが、ピーター卿の動きには要注意。いつもの文学作品の引用だけではなく、今回は画家が出てくるということでラファエロ前派の言及もある、いかにもイギリス的なミステリ。
2016/09/20
penguin-blue
画家がたくさん住む風光明媚なスコットランドの村で、周囲と問題ばかり起こしていた嫌われ者の画家が殺された。容疑者は6人、それぞれに動機があり犯行前後の行動も怪しい。滞在していたウィムジィ卿は捜査に乗り出すが…。動機はそれぞれにある訳なので、アリバイ崩しが主なのかな。被害者と6人の容疑者が事件前後に各々けっこうな距離を動き、時系列も絡むので途中で処理しきれなくなり、解決も「ああ、そうだったの」謎が解けたというより説明してもらった印象。登場人物が浮かび上がって来なかった。残念ながら相性悪いまま終わったかも。
2022/12/16
Tetchy
その名が示すようにこれは推理小説でいうレッド・ヘリング物、つまり疑わしき潔白者が何人もいる小説で、セイヤーズにしては珍しく、純粋本格推理小説である。しかし、レッド・ヘリング物は誰も彼もが怪しいという趣向であり、途中で「もう誰が犯人でもいいや」というある種の諦観を抱くようになるのだ。それは本作も例外ではなく、キャンベルという嫌われ者の画家が殺されるという1つの事件だけで、500ページを引っ張るのはあまりにもきつい。いつものカタルシスもなかったのも残念。
2009/07/20
ぽんすけ
面白かったんだけど結構ごちゃごちゃしてたな。容疑者が五人もいるせいで、捜査があちこちに飛ぶところにもってきて、自転車トリックやら電車の時刻表トリックやらとモリモリ盛沢山で読んでて疲労感がwピーターが現場で殺人だと断定した時に、あるべきものがそこに無いと言っていたので、なんか絵の道具だとアタリはつけてたけど、結局最後までそれが何かはわからなかった。絵を嗜む人ならすぐわかったのかな?今回はピーター以外の人々が推理を巡らし自説を展開してるのが良かった。田舎暮らしもいいけどやっぱりピーターはロンドンでこそかな
2024/11/14
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