学寮祭の夜 (創元推理文庫 M セ 1-11)
学寮祭の夜 (創元推理文庫 M セ 1-11) / 感想・レビュー
Kircheis
★★★☆☆ ピーター卿シリーズだが、ピーターが活躍しだすのは終盤であり、本作の真の主人公はハリエットだといえる。 前作『ナイン・テイラーズ』でもその傾向はあったが、本作は完全にミステリの皮を被った純文学作品という感じだ。「女性の社会進出」というテーマと、ハリエット自身の成長(等身大のピーターも)が重厚かつ丁寧に描かれている。 読み応えがあり、色々と考えさせられる良作なのだが、このシリーズに求めているものはこれじゃないとも思う。 だけど、ラストはやはり感動!読後感は最高だ。
2022/01/16
セウテス
ピーター卿シリーズ第10弾。〔再読〕母校オックスフォード大学の学寮祭に出席したヴェインは、卑劣な中傷の手紙や悪質な悪戯に陰湿な狂気を感じ、ピーターへ助力を求める。本作は殺人が起きない本格ミステリであり、ヴェインとピーター卿の恋の行方に決着がつく物語である。ミステリでありながら登場人物の内面や個性を見事に描写する、これぞセイヤーズ作品と言える。終盤犯人の語る動機は、女性の自立や姓の平等という考えにおいて、女性ならば尚更心を痛める人間性ではないのか。犯人の生き様とも言える計り知れない信念に、戦慄すら覚える。
2019/09/09
NAO
【「男祭り週間」参加】貴族探偵ピーター卿シリーズ。卒業後、久々にオックスフォードの学寮祭に参加したハリエットは、同窓生たちとは結婚することの意義を語り合い、恩師たちとは学術的な話をした。この二つ、この話のキーポイントになっている。さらには、推理小説を書く意義についての考察もあり、作者の葛藤がうかがわれる。事件そのものは陰惨なものではなく、ハリエットとピーター卿が結婚するための通過儀礼のような話。ピーター卿の戦時中のエピソードや、ボートでの川下りのエピソードなど、事件とは関係ない話も多く、のんびり読める。
2020/05/29
まふ
717ページの大著。作者はオクスフォード大学の女子カレッジ2校の一つサマヴィル校を卒業しており、その母校を模した「シュローズベリ・カレッジ」における醜怪な事件を推理作家ハリエット・ヴェインが恋人ピーター・ウィムジー卿とともに解決する学園スリラー。ハリエットとピーターとの知と情の絡まる「高度な」やり取りや、女子教職員たちのプライド高い会話も「いかにも的」現実感あり興味深かった。文中やたら出てくるラテン語、古典等の「引用」が会話の中で咄嗟にできるか否かが「オクスフォード的インテリ度」の尺度か?
2022/10/08
藤月はな(灯れ松明の火)
母校オックスフォードへ帰ってきたハリエットは卑劣な脅迫に見舞われる。誰がこんなことを行っているのか?学生の身分なので親などの意向で勉強する気もないのに身の丈に合っていない大学へ行って不満、それなのに自分で状況を打破するための行動にも移さない生徒へのハリエットと学生監の言葉に冷や汗をかきます(汗)そしてハリエットに仲良くする甥や酔っぱらうのが好きな男子生徒へのピーター卿のヤキモチが可笑しいです。そして「結婚してください!」、「お断りします」という堂々巡りな二人の仲にも新展開が。二人とも末永く、お幸せに!
2013/06/07
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