ルーフォック・オルメスの冒険 (創元推理文庫)
ルーフォック・オルメスの冒険 (創元推理文庫) / 感想・レビュー
夢追人009
くだらない事が大好きな私には大好物の一冊でしたね。ミステリーであるか否か?なんて事には一切こだわらずに目一杯楽しんで腹を抱えて笑いましょう。もうミステリーではなくてもいいです。変なプライドを持って敬遠したら損だと私は思いますよ。偶にはバカバカしい物を読んで心を開放してゲラゲラと笑って目に涙を浮かべながら緊張を解いて弛緩して過ごす時間も必要なのですよ。最後に今ふっと思いついた思い切りお馬鹿な事を書きます。刑事コロンボと著者の時空を超えたコラボレーション、「うちのカミさんがね」という事でお後がよろしいようで。
紅はこべ
訳者の方は随分ダジャレに苦心しておられる。原文もそうなの?ところどころの訳者のツッコミも楽しい。ホームズというより、怪人二十面相もの、或いはルパンもの(完訳版よりも南洋一郎翻案もの)が好きな人向きかも。フランスミステリでこれほど笑えるとは。こういう稚気溢れる作品が楽しめなきゃ、ミステリファンとは言えない。あり得ないと怒るのは無粋なのです。
2017/03/06
HANA
ミステリ短編集、と言うよりむしろショートショート。冒頭の四万本の鬘が三万九千九百九十九本になっていたというのを見て、どうしようと思ったのだが、だんだん論理自体が浮世離れしていくに連れて、読み進めるのが楽しくなる。超現実が現実を超えるというか、言葉が現実を侵食していくというか。「証拠を残さぬ殺人」と「空飛ぶボートの謎」なんかその極北と言う感じがするし。「〈クラリネットの穴〉盗難事件」は読んでいて目が点になるような思いもする。あとこれ駄洒落まがいの言葉遊びが頻出するので、訳者大変だっただろうな、とも思った。
2017/09/06
星落秋風五丈原
ワトソンよろしく助手はいるが名前はない。持ち込まれる事件はやはりホームズもののように突拍子もない。例えば彼のもとに客がやってくるが、その客が「骸骨を頭から足までそっくり盗まれた」と言い出す。しかし現にその客はオルメスと話しているのだ。「ベッドに横になっている」というト書きはあるものの、そもそも骨なかったら、あなた生きてませんから!オルメス、ここは「これは前代未聞の難問だ!」と喜ぶところじゃなくて、彼を病院に連れてくべきだよ。ミステリを楽しむというより小咄を楽しむ感覚。
2016/07/03
本木英朗
出帆社版で読んではいたが、あっちの収録作は10篇程度。それでも捧腹絶倒してしまい「カミすげー!!」と感じたのだが、今回は完全版というべき内容で、32篇も「超くだらない」「どうでもいい」コントが連続して読めるのだ。だんだん脳内に妙な物質が生成されハイな気分になっていくのが自分でもわかる。おそるべしカミ。基本はホームズ物のパロディなんだけど、パロディとしての体裁はほとんど成してない。まあいいから読みなさい。これは今年絶対買い逃しては行けない一冊ですよ。この調子で『エッフェル塔の潜水夫』復刊もお願いしたい。
2016/06/05
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