エドウィン・ドルードの謎 (創元推理文庫 189-1)
エドウィン・ドルードの謎 (創元推理文庫 189-1) / 感想・レビュー
のっち♬
許嫁との婚約を解消後忽然と姿を消したエドウィンの謎。賑やかな大通りと静かな聖堂・墓地の間に門番小屋を持つジャスパーには死のイメージが強調され、抽象的な犯罪心理を嵐で鮮烈に具象化させている。テムズ川、日の出と日没、クリスマスイブという日程も生死の縫合と見なせるし、死へ向かう著者の心境はグルージャスの観念にも伺える。一方、クリスパークルをはじめ生の息吹もしかと感じられ、加えて美醜、聖俗、表裏などの二項対立も後半で劇的に変転させる算段が想定できる。著者は最期に生の勝利を読者それぞれで見出すことを宿題としたのだ。
2018/07/05
さっちゃん
さあ、乗ってきた!というところで唐突に幕が下ろされ、消化不良気味。結末に関する謎が多すぎて、最後の解説にあるようにいく通りにも解釈できる。その結末をあれこれと考えるのがこの本の1番の楽しみ方かもしれない。その日の観客の投票によって結末が違うというミュージカルを観てみたいものだ。
2016/03/30
viola
シャーロック・ホームズがこの作品のその後を推理するという『エドウィン・ドルードの失踪』を読みたくて。※書いたのはドイルではありません。前半はとてもディケンズらしい感じで、推理小説という感じではありません。事件が起こるまで300ページ近くかかる、という。バランス~~!という感じですが、未完の書だから、きっと書き上げていたら3巻くらいになっていたのでしょうね。小池氏の翻訳は◎で、特に言葉遊びの訳は素晴らしい。内容もなかなか面白く、好きなディケンズ第3位にランクインすることになりました。
2012/06/22
ホームズ
ディケンズの未完の推理小説。エドウィン・ドルードがどうなったのか?をたくさんの作家が推理してる。
2007/10/26
うーちゃん
引っ越し荷物から1988年6月に買ったままだった初版本が出てきたので読み始めた。創元推理文庫で絶版になったのはむべなるかな。だって、推理小説じゃないんだもん。推理の要素もあるディケンズ作品と割り切って読めば悪くはない。とくに、登場人物の造形は(これは他の作品もそうだが)今から見るとやや極端ではあるが、特徴がはっきりしていて面白い。これまで読んだディケンズ作品と比べると、「デイヴィッド・コパフィールド」(新潮文庫)や「大いなる遺産」(河出文庫)には及ばないが、「荒涼館」(ちくま文庫)といい勝負だった。
2013/01/25
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