災厄の紳士 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M テ 7-3)
災厄の紳士 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M テ 7-3) / 感想・レビュー
W-G
ある意味、一芸職人なディヴァインにしては珍しく、物語の構成に工夫があり、何作か続けて読んで、似たような人物や街の雰囲気に飽きを感じ始めたタイミングで読むのに最適な一冊だった。とはいえ、サラがメインとなる中盤以降は、いつも通りのお家芸ともいえる、狭いサークル内でのあれこれが描かれ、安定感もある。残念な点としては、キャラクターの消化不良がかなり目立つ。ドロシーや、サラの夫のアーサーなど、実はこっちが探偵役なのでは?と思えるほどであったのに、まさかの使い捨て。お約束のお気楽メロドラマがないのも意外に寂しい。
2022/11/16
とも
古本屋さんで、昔の「このミステリーがすごい」 に載っていて興味を持って読んでみた。 派手さはないが、みんなあやしくて、重苦しく、悩まされて、最後は、すごい。面白かった。
2023/01/10
セウテス
【ディヴァイン10作品目】地味ながら凄い作品、巧いと唸ってしまう。前半は倒叙ミステリの様で、ジゴロを気どるネヴィルが資産家の娘アルマに、取り入っていく物語。やがて婚約という所で、彼は父親から受け取った金と共に姿を消す。後半は正に本格で、彼の死体が見つかり金は紛失する。彼を操り金をせしめた人物は誰か、そして彼を殺害した人物は誰か。素晴らしい技巧を用いて、見事なまでに犯人を隠していて、最後まで謎解きは緊張感漂う。だが、しっかりと伏線と謎解きの鍵は、シンプルにかつ大胆に描かれている。たいへん味わい深い、良作。
2021/06/11
yumiko
久しぶりにページを捲るのももどかしいほどの正統派フーダニットミステリ。がっついてあっという間に読み終えてしまったのが残念なくらい。手がかりはとても親切に提示される。そう、「悪魔はすぐそこに」を読んだ時にも思ったのだった。ゆっくり考えれば分かったはずなのにと。でもこれまた親切に撒かれたレッドヘリングに眩まされ、すっかり作者の手中に…けれどそれがミステリの醍醐味、騙される快感なのだなあ。巧みな人物描写に品の良いユーモア、翻訳もいい感じ。海外ミステリがお好きな方は是非今すぐ( 。・ω・。)ノ 凸ポチッ
2018/02/12
タツ フカガワ
ジゴロのネヴィルが狙いをつけたのは往年の人気作家の娘で、幼なじみとの婚約を解消して傷心のアルマ。ネヴィルは三週間でアルマとの婚約にこぎ着けるが、陰で彼に指図する共犯者がいた。そのネヴィルが殺される。前半は倒叙ミステリーの趣、後半はアルマの姉サラが“探偵役”となって意外な犯人を突き止める。構成の上手さに加え、登場人物の親子、姉妹、夫婦の関係性も面白く描かれていて大満足のうちに読了しました。
2023/05/10
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