KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

荊[いばら]の城 下 (創元推理文庫)

荊[いばら]の城 下 (創元推理文庫)

荊[いばら]の城 下 (創元推理文庫)

作家
サラ・ウォーターズ
中村有希
出版社
東京創元社
発売日
2004-04-22
ISBN
9784488254049
amazonで購入する Kindle版を購入する

荊[いばら]の城 下 (創元推理文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ヴェネツィア

下巻に入って早々に、二人の生誕にまつわる秘密には思い至る。ただ、それでも結末がどのように閉じられるのかは想像がつかなかった。本書の最大のサスペンスはそこにあっただろう。もっとも、結果的にはキー・コードがモードとスーザンにあったのだとすれば、なんとも残念な結果に終わったのだが。ただ、ここでも閉鎖病棟の叙述と、サクスビー夫人の処刑の場面は19世紀小説風の暗さと重々しさとを見せる。本書にミステリーの楽しみを求めるのならば不十分と言わざるを得ないが、一方で小説としての楽しみは十分にあったというところだろうか。

2019/10/13

遥かなる想い

下巻に入っても、サラ・ウォーターズ の筆致は冴えわたる。 裏切りに次ぐ裏切りが、 心に痛く、もつれた糸の 行き着く先は一体 どうなるのか…読んでいて ため息がでる程の展開は 読書の喜びなのか… 最後は納得の終焉で、 さすがに『このミス』史上初 2年連続1位に輝いただけの ことはある、怒涛の物語 だった。

2015/08/16

ケイ

これは母性の物語だ。そして、愛と友情と女性の自立の物語だ。本当に女に寄り添ってくれるのは、男ではなく女なのかもしれない。女に泣かさえれる女がどれだけいるだろう。女を泣かせるのはいつも男だ。この上なく幸せにさせるのも、それより長い時間不幸にさせるのも。そして滅私に徹した愛を与えられるのは、母性なのだとこの作品は言ってるように思う。

2016/02/28

のっち♬

第二部におけるモードの伯父のアブノーマル極まる趣味も強烈だったが、第三部の精神病院の様子も実に臨場感があり、不潔で猥雑なむせ返るような臭気が立ち込めている。職員から精神面を徹底的に痛めつけられ、モードに対して愛憎入り乱れた情念を抱くスウの描写も充実。部によって雰囲気がガラッと変わる点も本作の面白さだろう。第三部はミステリーとしてよりも登場人物の様々な思惑が交錯するヒューマンドラマとしての要素が強めだが、サクスビー夫人のスウに対する扱いは釈然としない。著者の嗜好が前面に出たラストシーンも独特の余韻を残す。

2018/04/07

青蓮

騙し騙され合う、仕組まれた運命に翻弄されるスウとモード。隠されていた真実が明かされ、残酷な現実を知ることになった彼女達の行く末はーー物語に惹き込まれ、ページを捲る手が止まりませんでした。スウもモードも絶望の淵に追いやられるけれど、相手への強い想い(たとえそれが憎しみであっても)によって危機を脱し、最後は自分自身ですら欺けない「愛」に気付く。本当にラストまで気が抜けない作品でしたが、とても面白かったです。壮絶な運命を乗り越えた彼女達の「愛」は本物。この先、二人がずっと幸せでありますように。

2018/01/25

感想・レビューをもっと見る