夜愁 上 (創元推理文庫 M ウ 14-4)
夜愁 上 (創元推理文庫 M ウ 14-4) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
表紙は確かに幻想的。特に遠景の高い塔が。ロンドンの実景なのかどうかは不明だ。物語の舞台が開いた時は1947年。まだ、ロンドンの街にも、そしてそこに住む人々にとってはさらに大戦の傷跡が随所に残っていた。登場人物たちのすべてが多かれ少なかれ何らかの暗い過去を背負っていそうだ。明るい昼の景も描かれるのだが、読者が受ける印象は一貫して表紙がシンボリックに語るような暗鬱な景だ。そして、そこに明るい未来を予想することはできそうもない。物語の後半からは1944年の過去に遡行してゆく。レスビアニズムはどこに行き着くのか。
2016/02/18
遥かなる想い
2018年このミス海外18位。舞台は第二次世界大戦前後 のロンドン。 登場人物の誰もが秘密を 抱え、今を生きる。 正直、読んでいてひどく 不穏で、落ち着かない… ドイツ軍によるロンドン 空爆が人々に与えたものは、 何だったのか。 まどろっこしい展開の まま、時代を遡り、 そこから見えてくるものは 何なのだろうか… やや単調だけに、下巻期待 の上巻だった。
2015/09/22
ケイ
不安定なケイ、ちょっと変な仕事のヘレンとヴィヴ ヴィヴの弟のダンカン。ヘレン以外は、何か抱えているものがすごく大きそう。第一部は戦後の1947年。第二部で、舞台が1944年に戻ると、登場人物たちたちが生き生きとしてくる。彼らが変わってしまった原因がだんだんわかってくるが、そこに同性愛が絡んでくることが必要以上にある気がして、それ以外のところを読みたいと思う。
2017/03/08
扉のこちら側
2017年261冊め。【310-1/G1000】タイトルと表紙に雰囲気そのままに始まる物語。ウォータースは霧の雰囲気描写が本当にお上手。第二次大戦後の1947年、この立ち込める霧さながら何かをまとい秘めている登場人物たち。時が遡って戦時中の1944年、変わってしまう前の生き生きとした彼らの姿が。下巻が気になる。
2017/07/15
NAO
第二次大戦後のロンドンで、密やかに生きている人々。断髪のケイ、女流作家と同居しているヘレン、ヘレンの同僚ヴィヴ。彼女たちは、みな、心に屈託を抱えて生きている。暗く重い夜が来て、彼女らが積み重ねてきた歳月を静かに引き剥がしていく。現代を舞台にしても変わることのない、ウォーターズ独特の雰囲気。
2017/01/02
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