KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

濡れた魚 下 (創元推理文庫)

濡れた魚 下 (創元推理文庫)

濡れた魚 下 (創元推理文庫)

作家
フォルカー・クッチャー
酒寄進一
出版社
東京創元社
発売日
2012-08-25
ISBN
9784488258047
amazonで購入する

濡れた魚 下 (創元推理文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

セウテス

前巻での殺人課への復帰への捜査から、本巻にて見事に殺人事件の担当者に指名されたラート。しかし本作の特徴なのだが、ミステリとしては説明のしにくいと言うか、主人公としては普通有り得ない状況で捜査を行なうのです。その事自体はサスペンスに感じる事も出来る訳で、撒きに撒かれた伏線の回収が怒涛の如く来るのも驚きます。この時代だからこそ出来る大技であり、作者の溢れんばかりのアイデアには、他にない作品という設定の期待がある。真相は犯人が、解らない訳ではなくかなり思わぬ形であり、幾つかの楽しみ方があり賛否が分かれるだろう。

2018/11/30

書斎六尺

およそ清廉潔白とは云い難い主人公=ラート警部が己の失敗を隠蔽するために細心の注意を払い間違いは絶対許されないが、真相を周りの目から遠ざける為に出来るだけ間違いをする必要があるという行には大いに笑えた。この時代を背景に、この時代だからこそのロシア貴族、ギャング、ナチ突撃隊、共産党員など様々な人物が暗躍・横行し興味深い。この著者のアイデアに富み、また時にユーモアさえも感じるプロットを大いに堪能した。物語導入の舞台であった建設中の百貨店も遂に完成しその屋上レストランで物語の幕を閉じる辺りも何ともお洒落だ。

2013/05/12

くり坊

読み終わってしまった。上巻後半で自分で工事現場のコンクリに埋めた屍体、それを自分で捜査する羽目になる展開は、思いのほか早い段階で描かれ、そこを通過点にうまくストーリーも転がって落ち着くところに落ち着いた結末は悪くない。有力者と懇意の父親をもつ主人公の、坊ちゃん坊ちゃんした行動と葛藤も煩すぎない程度で、物語の筋道にはまっていたし。1929年のベルリンの風俗も堪能できて◎。

2015/05/20

Hugo Grove

ドイツミステリーはおもしろいぞ。登場人物の多さと似たりよったりの名前に翻弄されるが、人物相関図を頭で描きながら読むといい。人が悪くて、かなり卑怯で、物事の清濁も呑み込める主人公が面白い。正義漢で爽やかでハンサムな主人公もいいが、このマイナス要素満載の主人公もかえって現実味があっていい。そして一つの大きな組織の中で足を引っ張りあい、裏をかきあって何が正で何が悪なのか見極めにくい。その紆余曲折がこの作品の魅力となっている。

2013/02/17

読後感はあまり良くない。でも、雑多な生活感みたいなのは伝わって来た気がしてそこは好き。

2013/09/19

感想・レビューをもっと見る