ゴールドスティン 下 (創元推理文庫)
ゴールドスティン 下 (創元推理文庫) / 感想・レビュー
Hugo Grove
上下かなり間が空いたが、読んでるうちに思い出し、ページを捲る手を止められなかった。ただ名前が似てるし見慣れないので覚えられず人物紹介を何度も確かめる事となった。ストーリーも複雑でどれがどれと関わっているのか、ワクワクしながら収束されていく見事な様は、ああ、これが推理、警察小説だと満足した。
2015/01/09
かもめ通信
シリーズの既刊作品同様、今回も上下巻あわせた長編ながら、あれこれと動き出すのは下巻に入ってから。前半部分には、関係者を追いながら当時のベルリンの様子が丁寧に書き込まれている。街中には失業者も増加し浮浪児が溢れ、治安は悪化し盗みも横行、あちこちで共産主義者やナチ突撃隊による暴動や衝突事件がおき、ユダヤ人への嫌がらせも頻発している。主人公のラート警部の恋人チャーリーを通して描かれる、女性の社会進出をめぐるあれこれも見逃せない。 相変わらずこの作者、こういう息が詰まりそうな重苦しい街角を描くのがとても上手い。
2014/08/31
わたなべよしお
ちょっと我慢が必要だけど、最後にはカタルシスが得られます。カタルシスといってもナチが勃興する時代だけに、ほろ苦さが残るのは、このシリーズの特徴だろう。そこが良いんだけどね。まぁ、ラートに久しぶりに会えて楽しかったけど、今回はチャーリーが結構、活躍する。アメリカから来たゴールドスタインもなかなか味わいのあるキャラクターで良かった。ラートとチャーリーのその後も気になる。
2014/08/14
Reiko
主人公のいつものハチャメチャぶりは、ベルリンの政治的混乱によって抑えられ、個性がかき消されている。かなり大風呂敷を広げているが、最後にはうまくまとめた感じ。シリーズ物なので、事件そのものは決着が着いているが、曖昧になったままのことも残っているので、読後はあまりすっきりしない。主人公だけでなく、登場人物にもう少し魅力があると良いのだけれど…。飼い犬キリーがほっこりとさせてくれる。いろいろと不満もあるのだけれど、でも読んでしまうのは、この時代の雰囲気を良く出しているから、かな。
2014/09/06
くり坊
シリーズ3作目の下巻。ユダヤ協会とカトリック協会の描写が興味深い。事件は大大円の決着をみるが、時代の不穏さが様々な伏線(になりそうなな塩梅)に描かれていて、続きが気になる。1作目がベルリンのロシア人街、2作目が中国人商人、3作目はいくつかの階層を成すユダヤ人社会が登場。続きが読みたいけど、邦訳が出ないかなー!4作目Die Akte Vaterland: Gereon Raths vierter Fall、5作目 Märzgefallene: Gereon Raths fünfter Fall
2015/06/24
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