このささやかな眠り (創元推理文庫 M ナ 1-1)
このささやかな眠り (創元推理文庫 M ナ 1-1) / 感想・レビュー
goro@80.7
前半は徐行運転だったけど彼の死から俄然スピード上げてミステリーだった。愛した人の事故死に疑問を持ち突き進むゲイである弁護士ヘンリー。ナーヴァの文章はどこか独特の香り。出てくる人たちの多くもゲイなのだが、同性愛を声高に主張するでもなく当たり前の事だと自然に思える。富に呪われたような一族に立ち向かう孤高の闘いがある意味清々しい。そしてラストの一行が素晴らしい。これはシリーズ追わなきゃね。
2021/10/19
ち~
ドラッグによる酩酊で留置所にいたヒューと公選弁護人として出会ったヘンリーは、「祖父に命を狙わている」と助けを求められる。次第に深い関係になっていった矢先、突然ヒューを喪った。彼の言葉を信じてやれなかったヘンリーは、中毒者の事故とされた死の真相を探る。強大な資産と地位で守られたヒューの一族に、淡々と冷静に挑むヘンリーの姿と最後の一言、そして闇にまみれた一族の中で置かれていたヒューのあまりに悲しい状況がずっと印象に残っていたが、30年という年月を経ての再読でも、やっぱり物悲しい余韻を残す忘れられない話だった。
2021/07/15
ハンナ
たまたま古本屋で手に取った本。ゆえに、持っているのは旧表紙。ゲイ弁護士ということで興味をもったけれど、中身はハードボイルド。短い間の愛だったけれど、恋人の死を小さなものとして抹殺されることを防ごうとする主人公のひたむきさが魅力的。ゲイ専門誌に掲載されていた作品ということで、ゲイの登場人物が多いけれど、あまりに気にならないし、むしろストレートに人を愛するということを考えさせられる内容。続きも全て同じ出版社から翻訳されているようなので、ぜひ探してみたいところ。
2014/12/11
はんみみ
私の中のアメリカ80年代のイメージは、より「進歩的」で「あろうとして」いた時代、なので、この作品の中での、ゲイがとりあえずマイノリティとし緩やかに社会に受け入れられているのは、理想的で「80年代らしい」のかな、なんて勝手に想像しながら読んだ。 *中盤、主人公が「死んだ方がましだとは思わないか」と問われあっさりnoと答えるのに胸を打たれた。事件に関わる人間誰もが肉体的か精神的に緩慢な自殺をしてるような中で異質な強さだな、と。ラストの一言でその頑ななまでの強さが少し解されてるといいな。
2015/02/17
olivegreen
海外ゲイ・ミステリ、やっぱり面白いな。主人公がゲイの弁護士である、というのは確かにひとつのインパクトになるけれど、根本的なところで人が人を愛したり正義の為に戦ったりする姿は純粋にいいなと思う。ミステリとしてももちろんクオリティが高く、日本でどうしてこういうジャンルが生まれないのかと不思議。アメリカとはまた別の差別があるからだろうか?少なくとも翻訳物がもっと出版されてもいいと思うのは少数派の意見なのだろうか。この際洋書で読んでみようか(読破できるか?)
2013/08/11
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