砂漠で溺れるわけにはいかない (創元推理文庫 M ウ 7-5)
砂漠で溺れるわけにはいかない (創元推理文庫 M ウ 7-5) / 感想・レビュー
ずっきん
【ドン・ウィンズロウ再読祭り開催中】人物と舞台の緻密さ、ぶっきらぼうでありながら生々しくエロい文体、なんといっても結末の余韻と不満の残らない読後感に、全幅の信頼を寄せている作家さんである。唯一の例外が本書だ。ニールの物語に恋焦がれ、待ちわびた挙げ句のお別れがこれなんてひどすぎると、シクシクもしくは沸々となった初読時。本気で悲しかった。だがしかしである。いやー、再読っていいわー♪ 面白いじゃーん♪ このウィットが、後のあれやそれに活かされていくんだなあ〜なんて余裕の読書。ニール、ありがとう。元気でね!
2020/05/18
ナミのママ
シリーズ最終巻。最初からコミカル色の濃いシリーズならそれはそれで楽しめたと思う。5巻を続けて読むとあまりにも1作目との違いに、やはり違和感しかない。不幸な生い立ちから抜け出しどんな風に成長していくのか?その最終巻がこれですか…。かなり残念だった。
2021/11/30
GaGa
前作でがっかりしたが、本作は最近のウィンズロウの走り的な作品で、実験的手法が(まだ未熟ながらも)使用され、それなりに楽しく読むことができた。このシリーズは活字のコミックだと思っているので(決していかなるものも軽視した例えではない)すらすらとページをめくらせてもらえただけで充分。ただ、最後の作品なのに、グレアムは活躍せずレヴァィンは登場すらしないのは寂しいなあ。186Pで比喩に使われるD・ホフマン主演映画は「マラソンマン」
2012/05/15
紅はこべ
今回は過去の作品に比べ、ページ数も少なく、事件も単純。水戸黄門的解決であっさり。ニールが連れ戻す任務を負った相手の老コメディアンの発するとめどない小話のせいか、コメディタッチで、このシリーズ特有の哀感や情緒には欠ける。恋人のカレンの子供が生みたいという率直で自然な欲望に直面して、ニールが改めて自分を見つめ直すことになるお話。まさかこんな結末を迎えることになろうとは。ウィンズロウはなかなかニールに普通の幸福を与えてくれないね。ニールの研究している作家の作品、どこかの出版社で訳してくれないかな。
2011/02/25
kinnov
初読の時は、このテイストでニールの物語を終わらせるのか?!と困惑して、ちょっと哀しかった。今読み返しても、1作目の魅力とはかなり遠い所に来てしまった印象は否めないが、親子の物語だったシリーズが、子供から親に成長する本人の内省と葛藤の話だった事は、これも一つの終わらせ方だったんだと、緩い気持ちで受け入れられた。ピュアさゆえの尖った鋭さから飄々とした軽妙さにステップは変わったが、主人公ニールの成長を見つめ続けている作者の姿勢は変わりない。にしてもニールの周りには癖の強い女性かイカした女性ばかりで、羨ましすぎ。
2023/09/11
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