冷えきった街/緋の記憶: 日本ハードボイルド全集4 (創元推理文庫 Mん 11-4)
冷えきった街/緋の記憶: 日本ハードボイルド全集4 (創元推理文庫 Mん 11-4) / 感想・レビュー
本木英朗
〈日本ハードボイルド全集4 二木悦子〉である。俺は今までに、『猫は知っていた』だけ読んでいた。今回は、私立探偵・三影潤シリーズから、長編「冷え切った街」、短編集「緋の記憶」ほか6編を読んでみた。いやはや、そう来たか。さすがは作者である。どれもこれもよかったです、はい。またいつか読もうと思う。
2022/07/31
くさてる
仁木悦子は初読でしたが、面白さと完成度に驚きました。人物描写もいいし、孤独な探偵が出会う人間たちが織り成す謎を解き明かしていく展開はまさにハードボイルド。なにより、これまでの昭和ハードボイルドに感じた古臭さと恥ずかしさ(なんかこう、カッコつけてんなあ……みたいなあれ)をほとんど感じなかったです。すごいすごい、三影潤もの、もっと読みたい!
2022/06/06
たーさん
自分の中で私立探偵小説ブームになっていて本屋で見つけて読んでみました。読んだ皆さんのなかで葉村晶シリーズ好きな人は好きだと思うと書き込まれていて納得。ハードボイルドと本格謎解きミステリがかけ合わさった凄いシリーズ。私立探偵、三影潤の納得いくまで事件に食らいつく様は葉村晶の影がちらつきます。長編の「冷えきった街」なんか海外ハードボイルドにクリスティ風の本格ミステリが合わさりラストのほろ苦い結末が何ともたまらない。こんな私立探偵小説が読みたかった❗と思えた作品でした。
2022/08/22
まぶぜたろう
長編「冷えきった街」は機械トリックを排除し、もう少し描写を厚くすれば、まんまロス・マクドナルド。過去から連なる家庭の悲劇と若い世代への温かな眼差し。■短編も巧い。題名通り色鮮やかな「色彩の夏」、結末が切ない「美しの五月」、そして幻想的な「緋の記憶」は夢の使い方が素晴らしい。■明らかに本格でもあるのだが、人間関係のもつれを題材にしていること、探偵であることの痛みがはっきりと描かれているあたりが実にハードボイルドで、これまで読んだ仁木悦子、つまりコージー的な本格よりも全然面白かった。
2022/06/28
しゅー
★★★★葉村晶シリーズがお好きな皆さんにはオススメ。『冷えきった街』は若竹七海さんにとって「死ぬまで手放せない蔵書の一冊」であり、折に触れて読み返し参考にしているとのこと。書店で「『日本のクリスティ』の作品がなぜハードボイルド全集に?」と言う好奇心から手に取った。そして巻末エッセイで前述の若竹さんの言葉を読んで購入を即決する。どの作品も古さを全く感じさせない。謎解き小説としても凝っているのにスピード感に溢れて読みやすい。ナゼこんなになめらかに物語が進行していくのか。この巧さは確かに繰り返し味わうに値する。
2022/06/11
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