奇術探偵 曾我佳城全集 下 (創元推理文庫)
奇術探偵 曾我佳城全集 下 (創元推理文庫) / 感想・レビュー
ALATA
作者が奇術師ということもあり、ミステリーをうまく融合させて舞台の裏側を見る感覚がいい。叙述トリックがさえわたる「ミダス王の奇跡」、パフュームのパフォーマンスを彷彿させる「虚像実像」が奇術トリックを駆使しいて思わず唸ってしまった。20年にわたる連載、最終章「魔術上落成」で大団円と思いきやまさかの展開が・・・泡坂さんの奇術、伏線回収お見事でした。★4※続編期待もかなわず、再読必須。映像化はベタですが、ぜひ仲間由紀恵で・・・
2021/10/12
タカギ
下巻も11編収録。解説は米澤穂信氏。泡坂妻夫自身だという青瀬勝馬の著作が出てくる、変わった話もある。カードマジックの秘密が書かれている。最終話では、佳城が建設を続けてきた奇術博物館が完成する。それにしても、もっといくらでも若いのから金持ちまでよりどりみどりだろうに、と思わずにいられない。
2021/01/22
ぶんぶん
【図書館】曾我桂城もいよいよフィナーレです。 奇術の成り立ちとミステリー、そのあやが大変勉強になった。 でも、最後の2,3篇は奇術を盛り込み過ぎたのか、やや冗漫な感じ、 しかし、20年以上掛かって書き上げた超大作である事に間違いない。 もうちょっと曾我桂城に寄り添った話も良かったのでは・・・ 凄いな、一つの事に20年掛けられるのは、「魔術城落成」で見事にフィナーレを迎えるが、一抹の不満も、消息不明で会って欲しかった。 泡坂妻夫、偉大なる作家だった。
2020/11/13
Inzaghico (Etsuko Oshita)
あっという間に引退した女性奇術師、曾我佳城を探偵にした連作もの。どれも小ぶりながらきらりと面白さが光る佳品揃い。女主人公の名前の「佳城」というのは「墓」という意味だそうで、最後にこれが重要な意味合いをもつ。 佳城の弟子の串目の成長ぶりにも目をみはる。佳城に憧れとほのかな恋心を抱きつつ、奇術師として一人前になっていく姿は、たくましい。最後の「魔術城落成」では、師匠を思うあまりの行動に驚き、泣けてくる。 ちょっと現実から離れたい、今のようなときにうってつけの読みものだった。
2020/03/06
ほたる
読めば曾我佳城の虜になっている作品。どの作品も奇術トリックを軸に真相に導いていく過程が良い。ありとあらゆる奇術で攻めてくるので読んでいてとても楽しい。「魔術城落成」が全集の最後の作品。これに辿り着いたとき衝撃ですっかり打ちのめされてしまった。
2023/06/10
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