たかが殺人じゃないか: 昭和24年の推理小説 (創元推理文庫)
たかが殺人じゃないか: 昭和24年の推理小説 (創元推理文庫) / 感想・レビュー
のぶ
自分の地元の名古屋を舞台にしているので、地理的な関係もよく分かりそれだけでも楽しい読書だった。時代は昭和24年の名古屋の新制高校。その高校の映画研究会と推理小説研究会の部員たちが、旅行先で密室殺人事件に出会い、またその何か月か後に、今度は台風の夜の学校敷地内の建物でバラバラ殺人事件に出会うというもの。辻さんがこの作品を出したのが88歳だそうでそれだけで凄いが、内容が本格学園ミステリーとしてとても良くできている事に驚いた。自分が辻さんの本を読むのは初めて。他にも関連作があるようで読んでみたい。
2023/04/17
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
(2023-37)昭和24年の名古屋。新制高校の三年年となったミステリー作家志望の主人公が巻き込まれる連続殺人事件。一つは密室殺人、もう一つはバラバラ殺人。辻真先さんといえばずーっと前に「迷犬ルパン」シリーズを何冊か読んだけど、失礼ながらいまだ現役とは知らず、しかも最高年齢でミステリー三冠!恐れ入りました。ちょっとトリックに無理があると思うけど、本格ミステリーとして面白かっただけでなく、一人の少年の切ない一夏の経験を描いたジュブナイル小説でもある。★★★★
2023/04/23
goro@80.7
残しておきたい記憶であり記録であり知って欲しい歪んだ事実をミステリーに取り込みながらほろ苦いボーイ・ミーツ・ガールの物語でした。「深夜の博覧会」どこかに積読したはずなのに未読だったのが残念だけど昭和12年の探偵さんにも昭和36年の彼にも会いに行かなければなるまい。
2024/07/16
セシルの夕陽
最初に驚いたのは、1932年生まれの著者が今も現役バリバリで新刊を書いていること。正に人生100年時代だ❗️題名通り、舞台は昭和24年、敗戦の傷が人々に影響している。主人公の風早勝利は新生高校3年…作者の分身であろう。旧制中学は5年間だったので、1年間限定の初男女共学高校生(著者の実体験) 。 推理小説研究と映画部員5人と顧問教諭で行った夏合宿で、密室殺人事件に遭遇する。そして、また新たな殺人事件が…。時代の重苦しさを、青春真っ只中の軽快な若者たちが救ってくれていた。犯人の予想は当たった私✌️ 愉しめた。
2023/09/22
森オサム
昭和ミステリシリーズ二作目。2020年の年末ミステリーランキング3冠に輝く作品。昭和24年を舞台とした物語は、主人公が高校三年生と作者と同年齢に設定されており、ある種自伝的青春ミステリーの側面も有る。しかし本作のどこが素晴らしいのか?、それは作者自身が知る当時の社会風俗や人々の考え方が非常にリアルに感じられ、近過去時代小説として優れているからだと思う。また、伏線と回収、構成の妙、心情描写には読み所があり、トリックや犯人の意外性のみで評価をするべきでは無いのだ。推理小説は推理クイズでは無い。良い小説だった。
2023/06/25
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