空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書) (創元推理文庫 M き 3-1)
空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書) (創元推理文庫 M き 3-1) / 感想・レビュー
absinthe
オススメ本。ちょっと驚いた。日常を美しい文章で淡々とつづったかに見える本だが、散りばめられた一見無関係な事柄を組み立てていくと、背景に溶け込んで隠されていた様々な非日常が浮かび上がってくる。ありがちな見せかけの裏に深淵が隠れている、そのギャップがミステリーの醍醐味なのだろう。知人にオススメされなければ手にも取らなかったと思うが、小説の新たな一面を垣間見ることができ幸運だった。
2016/12/15
Tetchy
傑作!!“本を読む”ことに幸せを感じ、この作者に出逢った事が最大の幸福。
2008/10/17
seacalf
本屋さんでよく見かけたことがあるこの本。ようやく手にしたのは東大王、水上のおかげ。ミーハーである。様々な形態の小説が跋扈してる現代においては目新しくはないが、身近な不思議を推理するスタイル、当時は斬新だったんだろうな。時代を感じさせる風合いは懐かしく、それが逆説的に新鮮で面白い。噺家の探偵なので落語の蘊蓄、そして文学畑の知識に強いと読みやすい。逆は辛い。どうも男性が描く女子大生の一人称というのは苦手だ。周りにいたけどね、リアルにこういう素敵な子。こういう時、読書仲間がいたら忌憚のない意見を聞けるのになあ。
2018/09/26
fukumasagami
文学科の女子大生をワトソン役に落語家をホームズ役に配した連作ミステリ第一集。女子大生と落語家の取り合わせが斬新で、好奇心旺盛な彼女が日常に顔をのぞかせる謎を拾い上げ、師匠たる落語家がそこに関わる人物の過去を読み解いていく。主人公の「わたし」の無垢で知性的な成り立ちが爽やか。
2010/09/20
佐々陽太朗(K.Tsubota)
何気ない日常が、そこに潜む謎によって色合いを与えられる。人が死なないミステリは良い。誰にでもありそうな日常だけに、かえってリアリティーがあるからだ。ミステリとして秀逸なのは「赤頭巾」。たまたま歯医者の待合室で隣り合わせたおばさんとの会話で、子供の頃からほのかなあこがれを抱いていた女性の秘密と意外な一面があぶり出される。表題作「空飛ぶ馬」は温かみがあってすばらしい作品だ。クリスマスにもう一度読み返すのもよいだろう。クリスマスに「空飛ぶ馬」を読み、大晦日には落語「芝浜」を聴く。心温まる年の瀬になるに違いない。
2012/04/10
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