朝霧 (創元推理文庫)
朝霧 (創元推理文庫) / 感想・レビュー
ユメ
冒頭だけがまだ学生時代。相変わらず正ちゃんと江美ちゃんと三人娘で行動しているのを見て、その雰囲気が好きだっただけに、これからはこんな時間も減るのかと思うと感傷的になってしまった。〈私〉が正ちゃんのことを呼ぶ時に「我が友」と枕詞を付けるところが気に入っている。その後も三人の交流は続いていてほっとした。《時》が変えるもの、変わらないもの。シリーズを読み始めた時にはまだ歳下だった〈私〉が、私を追い越して大人になってゆく。再び追いつく時、私は〈私〉のようになれているだろうか。「本を深いものにする」読者でありたい。
2015/11/03
佐々陽太朗(K.Tsubota)
主人公〈私〉も社会人になっちゃったのか。なぜかこの娘が大人になっていくのが切ない。娘の成長を見守る父の気分になってしまっている。成長を応援したい。恋もして欲しい。しかし、それを思うとちょっと切ないのが親父の気持ちだ。今作は「恋」がテーマ。もし、次作が上梓されるならば、主人公の恋の行方が描かれるのだろう。読みたい気持ちと読みたくない気持ちが相半ばしてせめぎ合っている。いつか〈私〉が「虎」を指さしたくなるほどの恋をするのかも知れないと思うと、胸が張り裂けそうになる。親父の気持ちは切なく複雑だ。
2012/04/28
ダイ@2019.11.2~一時休止
円紫さんその5。短編集。個人的にはこのシリーズは短編集の方が面白かった。女か虎かの話が出てきた時にはカイジを思い出した。
2014/07/14
カロリーナ
再読☆ 「円紫師匠と私」シリーズ第5弾。3編収録の中編ミステリー。ミステリーよりも文学談義にシフトした印象(「私」シリーズと言った趣)。面白かったのは「走り来るもの」。“わたしは引き金を”の後に続く言葉を考えるという謎解き。答えはこれ以外にはあり得ない!と思わせる解答に大満足でした。赤堀さんには幸せになってほしい。表題作の綴じ方が本シリーズ中で一番美しかったです。これから彼女がどんな選択をしようとも、選んだ道はいつでも太陽のほうを向いていることでしょう。私自身が成長して、何度でも読み返したいシリーズです。
2015/07/14
五右衛門
読了。久しぶりの作家さん、作品です。時代が過ぎて彼女も社会人に。いつもの円紫シリーズに戻っていた。前作が卒論テーマで難しすぎた。今作はほのぼの感が戻っていた。しかしながら相変わらず多くのデータを駆使してあり内容は濃い。テーマにそっての伏線が最後にはストンと落ちる、回収する。見事である。何故か正ちゃん口調だ。大したもんだ。気になる彼氏とはどうなるのかな?頑張るんだぞ。
2020/05/01
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