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ハルさん (創元推理文庫)

ハルさん (創元推理文庫)

ハルさん (創元推理文庫)

作家
藤野恵美
出版社
東京創元社
発売日
2013-03-21
ISBN
9784488414115
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ハルさん (創元推理文庫) / 感想・レビュー

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へくとぱすかる

何という美しい物語だろう。そしてこれが間違いなくミステリでもあるという奇跡。ひとり娘が結婚式を迎える日、父のハルさんの胸に去来する五つの回想。幼稚園から大学までのふうちゃんの成長が走馬灯のように思い出され、しかもその時必ず、亡くなった妻、ふうちゃんのお母さんと対話するハルさん。この時間の流れと似たような感覚は、あの『チップス先生さようなら』にも似て、あっという間に読んでしまった。読み終わるのが惜しくなる。そんな一冊。

2017/04/04

三代目 びあだいまおう

『今日、私たちの大切な娘がお嫁に行くよ」主人公ハルさんが、天国にいる妻の墓前に報告するシーンから始まる。妻を亡くした時娘はまだ幼稚園。以降ふうちゃんを大切に育ててきた。愛情は溢れるほどあれど父親はあまりに頼りない。まして母親役など。結婚式直前に浮かぶ娘と過ごした大切な思い出。時にふうちゃんは泥棒呼ばわりされたり、突然行方不明になったり…。困った時いつも奇跡を起こし助けてくれたのは最愛の…。相手を思う気持ちが強ければどんなに遠く離れていても関係は変わらない。そう、たとえ相手がこの世にいなくとも...‼️🙇

2020/09/26

しゅわ

【図書館】妻を亡くした…ちょっと頼りない人形作家・ハルさんとシッカリ者の娘・ふうちゃんの物語。幼稚園の消えた卵焼き、小学生夏休みの失踪、中学生の涙の理由、高校生のサンタ捜索、大学生の人形の家・すりかえ?事件…小さな5つの謎を解決します。成長する娘に戸惑いつつ温かく見守る父親と、その時の受け答えがラストの結婚式に集約、一番大きな謎「ふうちゃんは何故この人を選んだのか?」に繋がる構成は見事。前評判がとてもよく期待しすぎたのかな?ちょっと物足りない感があったのも事実ですが、ほんわかした物語で心温まりました。

2014/02/26

キングベルⅩ世

娘のふうちゃんの成長を人形作家の父・ハルさんが過去の謎とともに回想するのが大まかな流れ。探偵役は「それってアリなの?」って感じではあるが、他に適当な人物がいないもんなぁ。ハルさんのナヨっぷりには時折イラついたけど、ふうちゃんへの溺愛っぷりは微笑ましい。というかふうちゃんが本当に健気な良い子でたまらん。こっちも父になった気分なので現在の結婚式では完全に泣かされてしまった。波乱や悪意が全くないのもこの物語にはよく合ってる。

2015/02/25

おしゃべりメガネ

良質な‘ほっこり’ミステリーを読むことができました。ミステリーといっても、ハラハラドキドキなサスペンスではなく、日常のちょっとした謎解きをゆったりと進めてくれるので、疲れることなくサッと読了できました。主人公「ハルさん」は娘「ふうちゃん」と二人暮らしで、娘が幼いころ奥さんとは生き別れにという設定です。娘の成長(幼児時代から結婚まで)をとてもシンプルな目線で描き、特に中学生の頃の話では思春期特有のココロの動きを見事に書いています。大学生の頃の「事件」は、とても気分が温かくなりました。ゆったりと読めますよ。

2014/03/22

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