薔薇の女 (創元推理文庫)
薔薇の女 (創元推理文庫) / 感想・レビュー
セウテス
矢吹駆シリーズ初期三部作、第3弾。火曜日の夜、一人暮らしの若い女性が、絞殺された上身体の一部が持ちさられる、連続殺人事件がおこる。しかも殺害現場には、アンドロギュヌスのサインが残されている。何ともミステリーらしい、魅力ある設定ではないか。展開としても被害者のミッシングリンクを探っていき、少しずつ解る事実と新たなる殺人の勢いが良い。しかし本シリーズの特徴である、カケルと犯人の思想対決が薄い。さらには予測不能な登場人物がいたり、犯人特定に必要なアリバイトリックが曖昧だろうと思う。どうも釈然としないものが残る。
2016/07/05
ALATA
…ありふれた探偵物語風の臆断はナディア・モガールを混迷の淵に陥れる。連続して起こる殺人現場はアンドロギュヌスの署名が残され、過去の連続切断魔事件とリンクするところは横溝さんを彷彿とさせる。伝説的な美人女優「ドミニク・フランス」をめぐるカケルの推理が白眉、今作は哲学的思想も少なめで読み易かった★4※「首切りもあれば犯人と被害者の入れ替えトリック、双子が登場しても結局は同じトリック」そして、「不在証明が必要のない者の不在証明の擬装」。現象学的推理考察に快感を覚える。
2022/03/03
勇波
まずこの物語の一番の被害者は若いダルテス刑事である。バルベス警部が無能の為に「明日のジョー」もビックリのグーパンチを矢吹さんにもらってしまう…。。なんとも可哀想に。あと今回ナディアちゃんおとなしかったなぁ。いつもの暴走楽しみにしてたのに。。 さて今作は前作二作に比べて哲学問答が少なかった為か少し物足りない気がしました。でも事件の構成から謎解きまではさすが!といったところです。では矢吹様、近いうちに「哲学者の密室」でお会いしましょう★
2014/11/15
ヒロユキ
この作品単体で見ると当然のように面白かったけど、先に読んだ『天使』『黙示』と比較するとどうしても見劣りするというちょっと損な役回りの作品。前の二冊は犯罪部分と思想部分が密接な関係で結ばれていたけど、この本ではそれがちょっと遠かったのかな。毎度のことながらカケルの本質直感に基づく推理は方法論として興味深いです。
2012/05/17
ちくわ
薔薇の女/笠井潔 読みました!!猟奇的連続殺人に思想対決と今回もかなり装飾が多い作品。だが、今回のアリバイトリックは素晴らしい。解決までは装飾が多すぎて混乱しているのにカケルの推理場面はとても分かりやすくカタルシスを味わうことができました。面白かった。好きです。
2017/06/19
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