東京ホロウアウト (創元推理文庫 M ふ)
東京ホロウアウト (創元推理文庫 M ふ) / 感想・レビュー
ぶち
オリンピック開催間近の東京で物流を狙ったテロが発生。分断される道路に鉄道。届かない食料や物資。回収されないゴミ。東京圏の住民3500万人、通勤者、オリンピック選手や役員、オリンピック警備に増員された警察官などなどが、兵糧攻めにあったようなものです。住民は買い溜めに走り、スーパーやコンビニの棚が空になり、それを更に煽るSNS。後手後手にまわる政府や都庁...現実世界で実際に見たことがある光景ではありませんか。テロ事件というサスペンス小説ではありますが、首都圏の脆弱性が明らかになっていく恐さにあふれています。
2021/10/10
うまる
コロナ禍でのオリンピック直前、物流が崩壊していくサスペンス。読む時期を外したかと思いましたが、オリンピックの話が主ではなく、読者に考えさせるテーマがあるので、いつ読んでも大丈夫な作品でした。東京が陸の孤島化していく展開はエンタメ度が高く、それでいてメッセージ性のある話なのがとても良かったです。物流は消費者にモノが届いて終わりではない事を気付かされました。今のままだと個人が少々気を使う程度では、どうする事もできない未来が待っています。崩壊予測まで後4、50年。生きて見られる微妙な歳だけど、どうなることやら。
2021/09/13
RIN
東京オリンピック直前、物流テロが起こった!という話。文庫化に際して、設定に1年延期されたオリンピック、コロナ禍を加味したということだが、(単行本版は未読だが)オリンピックやコロナの要素はさしてテーマ的に重要ではないような。店頭には十分な商品が並び毎朝ゴミは収集され工場には部品が指示どおり搬送され宅配便は指定日時に届く。道路は多少の渋滞があっても通行止めとなることはあまりない。そういう普段、当たり前だと思っている日常がいとも簡単に破綻するということを改めて肝に銘じなければ!と終始思わいながらの読了。
2022/05/30
タルシル📖ヨムノスキー
まずはトラドラさんに感謝。2020年7月のオリンピック直前、一台のトラックから毒ガスが発生したことをキッカケに鉄道の線路爆破、トンネル火災、カーナビのシステム乗っ取りなどにより、東京と地方の流通が寸断されてしまうという話。この物語を読んで、流通というのは食料品や日用品だけでなくゴミも含まれるという点。なるほどそこまでは考えが至らなかった。次々と事件が起こり東京が追い詰められていく場面は手に汗握るが、福田さんのテロ小説はテロの規模と犯人の動機のバランスが釣り合っていないような気がするのは、私だけだろうか?
2021/07/06
きょん
まさに今、2021年オリンピック開幕間際の日本が舞台のパニックサスペンス。コロナ禍でのマスクやトイレットペーパー不足の記憶も新しく、小売店の棚が空っぽになるシーンでは昨年を思い出して切なくなった。物流の大切さ、過酷な業務をこなすトラックドライバーさん達に改めて感謝したくなる。そしていつの間にか古い建物が取り壊されて綺麗に更地になり、新しいマンションが建っていく事になんの疑問も持たず、廃棄物の行方を想像すらしていなかった自分を反省した。
2021/07/08
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