完全・犯罪 (創元推理文庫)
完全・犯罪 (創元推理文庫) / 感想・レビュー
セウテス
〔再読〕本作も、小林泰三氏らしいSFからミステリまで、区分けを無視したような5作の短編集。「完全・犯罪」は、論理の迷路に填まってしまう物語。「ロイス殺し」は、ディクスン・カー氏の「火刑法廷」の作中では、会話のみで実際には描かれなかった事件を構築した物語で、原作を読んでおくと良いと思う。内容よりも、思い入れやミステリ感に響いてくる。「双生児」は、双子ならではの感覚だろうが、現代社会の誰もが自己存在のアピールに躍起になる事も、恐怖が背景に存在するのだろう。論理的に考えていくと、いつの間にか背中に寒さを感じる。
2021/02/14
ちーたん
★★★☆☆久々のヤスミン本。短編5話。①タイムトラベル理論を先に発表した博士を5年前に抹殺すれば…『完全・犯罪』②カーの代表作【火刑法廷】(未読💦)の一節を創作『ロイス殺し』③一卵性双生児はどっちがどっち?『双生児』④ホームレスが追いかけてくる〜『隠れ鬼』⑤「お騒がせしてまぁーす!ドッキリチューブですぅ!」素人にやりすぎドッキリ仕掛けてたら…『ドッキリチューブ』◆ヤスミンならではの理屈こねくり回し系!グロほぼなしでパンチは少な目。ドッキリチューブは世にも奇妙な物語で実写化済。だけど原作とかなり違った😅
2020/05/12
さっこ
不思議な世界を感じる短編集。表題作は延々とお馬鹿な様相を呈して面白かった。「ドッキリチューブ」は「ドッキリです!」といえば何をやっても許されると思っている業界を皮肉っていてこれまた面白かったです。
2021/06/18
koma-inu
ブラックホラーの5短編集。題名から感じるミステリ要素は薄めで、ラストで読み手を落とす、作者らしい作品。「双生児」双子の名前まで共有される、アイデンティティ喪失の真相は?最後にそっちにもっていくとは。「隠れ鬼」河川敷で睨まれたホームレスに、どこまでも追い回される、その理由は?意外とリアルな倫理観が。「ドッキリチューブ」過激なドッキリ企画会社の、給与未払いに対してスタッフが起こした行動は?展開はよめますが、やりすぎ感がすごい。
2024/10/13
みなみ
ブラックユーモアたっぷりなホラー・ミステリー短編集。理屈をこねくり回しつつも破綻していないところがすごい。短編集の中では、表題作の「完全・犯罪」がお気に入り。ライバルに研究発表で遅れてしまった時空博士がタイムマシーンを活用して、ライバルを殺害しようと計画するお話。流れもオチも綺麗にまとまっているし、他の小林さんの著作と比べるとグロさ控え目。
2021/01/21
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