慟哭は聴こえない: デフ・ヴォイス (創元推理文庫 M ま 3-2)
慟哭は聴こえない: デフ・ヴォイス (創元推理文庫 M ま 3-2) / 感想・レビュー
旅するランナー
デフ·ヴォイス③。主人公荒井尚人にも家族ができ、子育ての悩みに直面する。産まれてきた聴こえない子に、人工内耳をせずに、手話を母語として育てる決意をする。何森刑事とのバディ感も増した「静かな男」も深い感動をもたらす。全体的な静謐さの中で、弱者たちの慟哭が心に響いてくる。
2022/04/11
ナルピーチ
デフ・ヴォイスシリーズ第3弾も深く考えさせられる四話の物語で綴られる。みゆきと美和と家族になった荒井。そして二人の間に産まれた新しい生命。新たな問題を抱えながらも家族として成長していく姿を描く。各話が進む事に障害者の方々との意思疎通の難しさが浮彫りとなり、これからの事を考える良い機会だと思った。 同時に荒井家の見せる喜怒哀楽の詰まった描写がとても微笑ましくも感じる。まだまだ多くの課題が必要。そんな側面をこのシリーズを通して丸山先生には引き続き描いてほしいし、多くの読者に触れてもらえたらいいなと思う。
2024/06/25
タツ フカガワ
手話通訳士荒井尚人が関わる仕事から、ろう者が抱える問題や誤解などその現実を描く4話の連作。というと堅苦しいが、なにより4話がとても面白い。たとえば廃屋の宿泊所で見つかった男の死体。その身元を探っていく「静かな男」は、前に読んだノンフィクション『ある行旅死亡人の物語』のようなミステリー色もあれば、ろう者が勤務先を訴える「法廷のざわめき」は法廷サスペンスの趣もある一編。本書はシリーズ3作目のようで、前作も含め、初読みの丸山さんも気になる一冊となりました。
2024/08/05
venturingbeyond
デフ・ヴォイス第3弾。短篇4編が収められているが、これまで同様どれも素晴らしい。4編に共通するのは、マイノリティとしての聾者が置かれた不均衡な立場。十全な医療サービスを享受することからの構造的排除、マジョリティが押しつけるステレオタイプをなぞることの強要、聴者とスタンダードな日本手話話者からの二重の排除、職場における合理的配慮の不在(エンパシーの欠如)と、それぞれ聴者のマジョリティ性が炙り出されるエピソードが続き、我々読者の認識が揺さぶられる。
2023/01/18
ケイ
これ、草彅くんでドラマ化されてるのね。観たかったな。探してみようかな。 彼は彼女と結婚して良かったのか? 子供がそうであればどうするか話を詰めずにどうして不妊治療?とか、突っ込みたいところは全巻からあるのだが、まあ、いっか。 いい加減にこのパターンは…というのと、いやいい話だったなが混在している4話でした。
2024/08/23
感想・レビューをもっと見る