ミハスの落日 (創元推理文庫)
ミハスの落日 (創元推理文庫) / 感想・レビュー
しんたろー
海外で現地の人間を主人公に据えた短編が5つ・・・「貫井さんが、どんな海外小説を書くのかな?」という興味から読んでみた。数々の名作ミステリを創った貫井さんの作品としては、ミステリ完成度としては物足りないと思う。それでも、異国情緒が 丁寧に書き込まれていて、翻訳ものを読むような面白さがあるし、所々で貫井さんらしい人間描写もあって、まずまず楽しめた。中でも『サンフランシスコの深い闇』は アメリカのペーパーバックにありそうな軽妙洒脱な物語で「こういうものも書けるんだよ」と筆者の声が聴こえる気がした。
2017/02/16
Rin
読み始めると、ミステリの内容よりもまず最初にガウディの建築を見たくなってしまった。建築物の表現がとても素敵でグエル公園に行きたくなり思わず、ミハスの街並みと合わせてネットで検索していた。それぞれの短編ももちろん、人の心の薄暗い部分や、やるせない思いがしっかりと描かれていて。一つひとつ違う楽しみがあった。特に「光と影の誘惑」でユーモアたっぷりに楽しめた人たちも登場していたのが嬉しかった。舞台となった地域を貫井さんが紹介していて、物語を読んで何とも言えない苦しいような気持ちを、最後に拭ってくれました。
2017/11/11
シキモリ
海外五ヶ国を舞台とした短編集。全ての国へ実際に足を運んだというだけあって、情景描写が秀逸。読み易い文章で翻訳小説の雰囲気が楽しめるのもまた一興。あの不運な保険調査員(中編集「光と影の誘惑」にて登場)に再会するとは思っていなかったので、嬉しいサプライス。全編短編としての完成度は高いものの、コンパクト過ぎて今ひとつパンチが足りない印象も。また、犯行動機や行動原理が日本人然としていて、異国を舞台にする必然性をあまり感じられなかったのは少々残念。男の哀愁を描いた「ストックホルムの埋み火」は味のある結末で好きだな。
2018/12/02
Junichi Yamaguchi
『疑惑』… 外国を舞台にした短編集なだけあって、なかなか名前が覚えられず… しかしながら、短いストーリーの中で違う形での貫井ミステリーに久しぶりに唸らせてもらった。。
2016/09/27
きのぴ
海外を舞台としたミステリー短編集。ミハス・ストックホルム・サンフランシスコ・ジャカルタ・カイロと、それぞれの雰囲気を存分に味わえてとても満足です。翻訳ものだと、アメリカンジョークみたいな海外特有のノリがいまいち分からず引いてしまうことがある私にとって、日本人が描いた海外を舞台とした物語は本当に有難いです。
2017/05/22
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