私刑 (大坪砂男全集3) (創元推理文庫)
私刑 (大坪砂男全集3) (創元推理文庫) / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
この巻は幻想とサスペンス編。表題作の救いのなさに呆然。あの子はどうするんだよっ(泣)『茨の目』は殺人者と殺人を情事として窃視していた変態教授の自分の立場への保身と情けない脅迫などが馬鹿すぎてなぜか失笑を誘われます。『初恋』や戯曲の『密航前三十分』は「どこかで似たような筋を読んだことがあるな~」と思っていたら前者は『丸太町ルヴォワール』で、後者は『退出ゲーム』だった。個人的には『現場写真売ります』と白昼夢の禍々しさを描き切った『第四宇宙の夜想曲』ソーリー探偵シリーズが好きです。
2013/10/15
sken
今回この作者さんの作品に初めて触れたのですが、非常に面白かったっす。表題作は刑務所から出てくる男を待ち受けている、テキ屋の男の話なんですが、舞台は終戦直後くらいっすか。なんとも雰囲気がいいっす。全集が出るくらいなのでかなり有名かつ結構昔の人みたいですが、作風もバラエティに富んでいて、今とは異次元である昭和中頃の風景がありありと目の前に浮かんでくる気がします。タマにはこーゆーのもいいっすねぃ。堪能いたしました。
2013/07/31
ノコギリマン
全集の三番目。今回はサスペンスが主に収録されてたんだけど、どれもこれも面白かったです。『初恋ー課題小説に応えてー』がとくによかったなー。最後の一文のかっこよさ‼ 全集4で終わりかとおもうと、ちょっと寂しいものがあります。
2013/12/14
ゆづたろう
前2冊の収録作と比べて異常な雰囲気を味わえる作品は少なかったけど、表題作などは読み物として楽しかったし、巻末収録の大坪砂男に関するエッセイなどで作者の厄介そうな性格を想像出来たのも良かった。あと一冊で終わりと思うと寂しいな…。
2013/07/25
深川拓
探偵作家クラブ賞を獲得した表題作など、サスペンス色の濃いものでまとめた第3巻。本邦ハードボイルドの先駆けともいう表題作から外国映画のノヴェライズまで収録されて多彩。表題作や『外套』、『男井戸女井戸』など、人間の感情の綾に潜りこむような細工を施した作品は魅力豊かである一方、犯人当て小説の仕掛けの粗さや、ノヴェライズの端折りすぎた書き方はもったいなく思える。しかしこうした、或いは収入のために執筆したとも思える作品を併せて収めることで、著者の最も素に近い手跡のようなものが窺える内容となっている。
2016/06/12
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