定価のない本 (創元推理文庫 Mか 8-3)
定価のない本 (創元推理文庫 Mか 8-3) / 感想・レビュー
ナミのママ
昭和21年GHQ占領下の日本。神田神保町で古書店主が倒れた書籍の下敷きになって死亡した。…本好きにはなんともインパクトある始まり、キーワードは『古典籍』『古文書』。個人的に得意でないこれらだが「のこるものでなく誰かがのこすもの」にはドキッとした。日本の歴史・文化をめぐる古書店の人達とGHQの、もう一つの戦争とも言えるやり取り。読み進めるにつれて、もしかしたら実際にあったのかも?と思わせる筆力。登場する気骨のある店主も魅力的だった。
2022/11/17
夜長月🌙@新潮部
【神保町本】ミステリーですが古書街神保町の歴史が興味深かったです。物語は戦後の古典籍(江戸時代もしくはそれ以前の歴史的書物)を巡るものです。神保町の興隆は関東大震災後に始まります。関東の研究機関、大学、役所などで資料が消失し、一式揃えなおすことになります。ここで関西などで買い揃えて古書として販売したのが神保町の古書店でした。
2023/01/22
優希
神田神保町の歴史を見ているようでした。
2023/02/17
活字の旅遊人
回想の形をとるがメインの舞台は戦後の神保町。言わずと知れた古本街で起きた死亡事故。いや、事件? というところから始まるミステリー。徳富蘇峰や太宰治が出てくるところも含め、話はなかなか面白い。おそらく時代考証もしっかりやっているのだろうが、言葉使いのせいか、現代もののように読み進めてしまうのが僕には残念。しかし、敗戦国日本の歴史・文化をしっかり守りたいという願いは尊い。その点この話の結末は爽快だが、明治以降の文化流出はやはり根深いよ。エジプトと仏英との関係に言及しているところなどは説得力あります。
2023/04/05
Book & Travel
戦後間もない神保町・古書街が舞台という所に惹かれ手に取った一冊。同業の古書店主の謎の死の原因を追う庄治は、GHQの陰謀に次第に巻き込まれていく中で、日本の歴史を守る戦いに挑む決意をする。登場人物の意図が分かりにくかったり、ストーリー展開が強引に感じたり、少し小説としての深みに欠ける印象はあるが、古書街の歴史や古書・古典を巡る蘊蓄の部分が面白く、一気に読んだ。本や歴史に対する愛情が感じられるのも良く、さらりと楽しめる物語だった。
2022/12/28
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