海の稜線 (創元推理文庫)
海の稜線 (創元推理文庫) / 感想・レビュー
KAZOO
黒川さんにこのような本格的な刑事ものがあるとは知りませんでした。最近の賭け事ややくざの話の本ではなく昔はこのような本も書かれていたのですね。松本清張の作品を思い出しました。今のようにすぐ科捜研でさまざまな状況や証拠で犯人がわかるということもなく捜査も大変だったということがわかります。またここに出てくる3人の刑事のやり取りも漫才のような感じで楽しめます。少し創元推理文庫の黒川さんの本をあさってみようという気になりました。
2019/06/06
修一朗
大阪府警シリーズコンプリート計画ゆるゆる進めています。この黒川初期作品も気になってました。この時期ミステリ比重が高いのだ。玄人はだしの海運業界ネタがポイント。黒川さんの親父さんは一隻船主だったということでそりゃ詳しい。船の営業権というCO2排出権みたいなのを初めて知った。正木船長が黒川親父と重なってしまう。東京人関西人あるあるを展開するため珍しく東京人が一人加わってます。こういう専門的な知的犯罪については進行役がいると大変助かるね。また業界通になってしまった気分。毎回そんな感じ。
2023/07/20
あすなろ
セドリック ターボブロアム爆破と第二昭栄丸の沈没。それに正ちゃん帽。初期の黒川氏の作品。舞台は80年代だか現代でも充分愉しめるエンターテインメント。解説にもあるが、実は黒川氏は良く調べていつも描いていると思うのである。それをベースにこれらオモロイ浪速エンターテインメントが展開されているのだ。また、作品を重ねる事に、僕のもう一つの黒川氏作品として好きなエッセンスである下品さも加味されていくことも分かった。そうした意味で、黒川氏自身の変遷を重ねたあとがきや解説も興味深く、二重に愉しめた一冊である。
2020/09/13
セウテス
大阪府警シリーズ第3弾。今回はブンと総長に、東京からのキャリア組警部補が活躍する。高速を走行中の車が爆発、中から黒焦げの男女が見つかった。車には時限爆弾が仕掛けられていたと解るが、肝心の遺体の身元が分からない。東京のキャリアとこれぞ大阪と言わんばかりのブンこと文田の、漫才の様なやりとりが笑える。ただし、だから大阪の人はと、言われかねない難しい処だと思う。捜査の果てにたどり着く海難事件に始まる連続殺人は、珍しい設定で興味が途切れる事は無かった。完全犯罪を壊してしまうのも、犯罪者側という事に妙にホッとする。
2019/01/22
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
大阪府警シリーズ第三弾。高速道路で起こった謎の車両爆破事故。男女の被害者は誰なのか?犯人の目的は?捜査一課の文田と総田のコンビ通称“ブンと総長”、この二人の掛け合い漫才のようなテンポの良い会話が面白い。そこに本庁から来た若手キャリア萩原も加わり、大阪と東京の文化の対決、ノンキャリとキャリアの対決も読みどころの一つ。海運業界の利権ってこんなところにもあるんだと意外な発見もあったりして。警察小説としても、純粋にミステリーとしても楽しめた一冊でした。★★★★
2019/05/23
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