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ノヴァーリスの引用/滝 (創元推理文庫)

ノヴァーリスの引用/滝 (創元推理文庫)

ノヴァーリスの引用/滝 (創元推理文庫)

作家
奥泉光
出版社
東京創元社
発売日
2015-04-26
ISBN
9784488444112
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ノヴァーリスの引用/滝 (創元推理文庫) / 感想・レビュー

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KAZOO

ノヴァーリスの引用も滝も最近のミステリーではあまりお見かけしない小説でした。というかすごく緻密な感じで読むのにはかなりエネルギーと時間がかかりました。ノヴァーリスの引用は中井英夫の「虚無への供物」を思い出しました。あれほどペダンティックではないのですがやはり同じような教養小説的なにおいがふんぷんとします。私の好みには合っています。滝のほうが物語的にはわかりやすさがありました。

2015/10/16

安南

『滝』完璧な純粋を極めて上り詰めた先には転落か死しかない。三島文学『奔馬』をなぞった作品であるのは間違いないが、最後の顔を破壊する理由は?それも三島の大の苦手である蟹に食いちぎらせるとは。これは三島文学のオマージュなんていう生易しいものではなく三島への挑戦状なのかもしれない。ストーリーそのものは三島の短編『剣』を換骨奪胎といったところで『蘭陵王』にも雰囲気に共通するところがあると感じたがそれはむしろ《顔》へのこだわり?『剣』では葉隠にある顔の皮の剥がし方について話す件があった。それに応えてなのか。

2015/05/14

絹恵

過去へ過去へと潜って真実に触れようとするたびに、心の迷宮に踏み入るようです。過去を見ても未来を思っても、人は苦悩を重ね、咎めたり庇ったりします。でもどの哲学者よりも簡単に真実を語るジャック・クリスピン曰く"死んでるみたいに生きたくない。生きてるみたいに生きるんだ"と、生きづらさを感じる全ての人に贈りたいと思いました。そして何と言っても"ノヴァーリスの引用"の使い所にふるえます。

2015/06/25

ヨコツ

これは「真面目な方の」奥泉光らしさがよく出ている一冊じゃあないだろうか。「ノヴァーリスの引用」は始めの方こそ冗長な語りと動きの無さに辟易していたものの、中盤以降は物語がぐっと幻想味を帯び始め、不明確な現実感や石塚の独り語りの圧倒的な吸引力で終幕まで読まされる。二編目の「滝」は三島由紀夫を思わせる設定や人物の登場するディストピア小説で、この先を読めばどんなにか不愉快な出来事が待っているに違いないと思わせる緊張感と不穏な空気に満たされながらも頁を捲る手が止まらない秀作だった。

2015/05/04

しろ

☆6 著者のミステリはどうしてもただのミステリじゃないから相変わらず読むのに疲れるけど、今作の中編二本はねっとりとした雰囲気とか感情のうねるストーリーにのみこまれた。ロジックももちろん多少楽しめたけど雰囲気ミステリかな。

2015/06/06

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