獏鸚 (名探偵帆村荘六の事件簿) (創元推理文庫)
獏鸚 (名探偵帆村荘六の事件簿) (創元推理文庫) / 感想・レビュー
徒花
まあまあおもしろかった。戦前に書かれたいわゆる「探偵小説」を改めてまとめた短編集。帆村荘六というシャーロック・ホームズをもじった探偵が、科学技術を用いたトリックを暴いていく。犯行自体はけっこうグロテスクだったりするんだけど、キャラクターのノリがライトというか、淡々としててどこかコメディチックなので、サクサク読み進められる。文章そのものに古臭さは感じないし、読みやすくておもしろい。
2020/01/04
aquamarine
海野十三氏の作品が沢山青空文庫になっていることは知っていてもどの作品から読めばいいかもわからないし意外といつでも読めると思うと読まないもので…そんなところへの書籍化は嬉しかったです。文章は想像したほど古臭くはなく読みやすいです。時代を感じさせるものも悪くないですし、「俘囚」や「赤外線男」のような行き過ぎと感じるものも十分楽しめました。「振動魔」「人間灰」のような化学的で怪奇的なものは特に好みです。人により好みは分かれそうですが私はとても好きだったのでもっと早く出会いたかったです。
2015/11/25
いたろう
日本のSFの祖と言われる著者の、探偵・帆村荘六もの、探偵小説10編。うち、「赤外線男」は既読だった。赤外線男とは、赤外線でしか見えないという、まるで透明人間のような男だが、この小説が出たのが1933年、アメリカ映画「透明人間」が公開される直前だったというのは興味深い。実際には、その正体は、透明人間と似て非なるものだが。他の作品も、本格推理物というより、SF、科学による奇想のトリックが多いのは、著者らしい。凄惨な場面が多いが、乱歩や正史に比べて明るい感じがするのは、飄々とした探偵・帆村荘六のキャラのせいか。
2020/07/28
HANA
名探偵帆村荘六が活躍する諸作品を収めた一冊。といってもピンからキリまで揃っているという感じ。とはいえキリの方も面白く読めたのは時代背景のせいか、探偵小説に対する愛のせいか。一読した印象はやはり科学的トリックを使ったものに良品が多いように思えた。傑作中の傑作「俘囚」記憶にあったものよりもう一捻りがあった「振動魔」「人間灰」はいうに及ばず、あんまりといえばあんまりなトリック「点眼器殺人事件」まで存分に楽しむことが出来る。SFとか探偵小説とかジャンル分けされる以前の、この時代の雰囲気や文体やはり面白いなあ。
2015/11/12
yumiDON
面白かったです。いくつか既読のものはありましたが、こういう怪奇探偵ものとでも言うのでしょうか。この時代だからこそ書ける、逢う魔が時が似合うようなディープな雰囲気好きです。そんな中でも特にお気に入りは「爬虫館事件」「赤外線男」「人間灰」が良かったです。「人間灰」とかちょっと人間性を疑われそうではありますが、すごい発想だな、と。何はともあれ、噂の帆村さんのアッパーカットを見れて良かったです(笑)。
2016/11/11
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